ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.308 )
- 日時: 2010/11/07 14:27
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
STAGE Ⅷ 「最大の危機」
〜前回のあらすじ〜
ついに四神「白虎」と交戦を開始したSURVIVAL GAME第3ステージ参加者たち。
が、白虎は圧倒的な速さを誇り、辛うじて風上と刹那が反応できるぐらいであった。
このままではらちが明かないと悟った刹那は宝玉を回収してくるように命じる。
辻と烈火がコレに応じ、途中白虎の襲撃を受けながらもなんとか宝玉を手にする。
あとは脱出するだけだったが、戻ってきた2人に驚愕の光景が待ち構えていた。
なんと、参加者たちが全員壁の外に出ていたのだ。
「ちょっと待て、これどういう……」
あり得ない、宝玉を手にするまで誰も出られないんじゃ……
待てよ……
自分の顔が青ざめていくのを感じる。
「辻君、どうしたの!?」
烈火さんの問いに、俺はやっとのことで応じた。
「俺たちはもう、宝玉を手にしている…だからあいつらは出られたんだ…!!」
「じゃあ、もしかして……!?」
「あいつらは、自分たちだけさっさと逃げやがったんだ…!!」
こらえようのない怒りがこみあげてくる。
何よりイラついたのは、こちらに気付いているのに声の一つもかけなかったことだ。
ただただ、あいつらは俺たちが脱出できるかではなく、宝玉がこちらに来るかどうかだけに興味があるんだ…!!
「辻君…しょうがないよ、まずはここから脱出することだけを考えよ?」
烈火さんが俺の顔を覗き込んで言う。
「………分かった」
確かに、たった2人であの白い虎から逃げ切らなければいけないから、全力で集中しないと一瞬で殺られる。
「行こう、辻君。出口はすぐそこだから」
「ああ」
だが、烈火さんに促され、一歩踏み出したそのとき—
「ウガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!」
鼓膜が破れんばかりの咆哮とともに、目の前に白い虎が降り立った。
圧倒的な威圧感。
間違いなく、俺はこの生き物に恐怖を感じていた。
だが、こんなところで終わるわけにはいかない…!
俺はトリックスターを配置した。
一気に緊張が高まる。
そして、白い虎が動いた。
姿が突然見えなくなったかと思うと、すでに空高く跳んでいた。
「…信じられない脚力だね」
烈火さんがあきれたようにつぶやく。
「でも、空中じゃ身動き取れないよね?」
そう言うと、斬馬刀ではなく、ライフルのようなものを取り出した。
「そんな武器もあったのか…」
そういえば、俺は烈火さんのことを全然知らないな。
ふとそんなことを考えながら、俺もトリックスターでレーザーを発射させる。
これは思わぬ反撃だったのか、白い虎は慌てたようなそぶりを見せて逃れた。
「よし、今のうちに…」
俺と烈火さんは出口に向かって走り出すが…
「……ダメか!!」
すぐに白い虎が飛んできて、俺たちの前に立ちはだかる。
「さて、どうしようか……」
烈火さんが厳しい顔つきになった。
だが、考える暇を白い虎は与えない。
不意に、前足を振り上げた。
「…?」
俺たちがいぶかしんでいると、白い虎はその場で腕を振り下ろした。
その瞬間、かすかな風を感じた。
俺は本能で危険を感じた。
これはヤバイ……!!
体を動かそうとするが、すでにその見えない「攻撃」はすぐそこまで迫っていた。
やられる……!!
そう思った瞬間、俺の体は突き飛ばされた。
「烈火さん……?」
ザシュッ!!
そんな、何かが切り裂かれる音と共に、烈火さんは血しぶきを上げて倒れた。
「ガフッ…」
口から大量の血を吹き出し、烈火さんはピクリとも動かない。
「れ、烈火さんッ!!」
慌てて駆け寄る。
死んではいなかったが、すでに意識がない。
おそらく、今すぐ何とかしないと烈火さんは死んでしまう。
「くそっ!!」
目の前で、白い虎はじっとたたずんでいる。
まるで、俺に覚悟を決める時間を与えているかのように。
「野郎……!!」
先ほどとは比べ物にならないほどの怒りが全身を包むのが分かった。
「ダ…メだよ、辻君…」
立ち上がりかけた俺を制したのは烈火さんだった。
「烈火さん…」
「私のことは…いいか、ら…逃げて…お願い」
「でも!!」
「!!……つ、じくんっ…」
烈火さんが後ろを振るえる手で指差す。
振り返ると、白い虎が再び前足を振り上げていた。
「しまった……!!」
この位置では烈火さんも巻き込む。
次にコレを食らったら、間違いなく烈火さんは終わりだ。
「逃げてっ……」
烈火さんが声を張り上げるが、すでにその前足は振り下ろされかけている。
トリックスター…間に合うか!?
急いでまとめようとするが…
「ダメだ間に合わない…!!」
今度こそ終わりだ。
せめて、烈火さんに当たらないように、前に出て両腕を広げた。
ごめん、秋夜……俺、ここで死んじまうよ…!!
そして、前足が振り下ろされて……