ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 第3ステージ突入!! ( No.310 )
- 日時: 2010/11/13 16:54
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
- 参照: http://noberu.dee.cc/bbs/dark/read.cgi?no
STAGE Ⅷ 「奇跡」
〜前回のあらすじ〜
白虎の領域に取り残された辻と烈火。宝玉は回収したが、このままでは出られない。
なんとか脱出しようと試みるが、白虎の攻撃をかわすので精一杯で、とても逃げる隙ができなかった。
さらには、烈火が辻をかばって負傷し、その辻も今まさに白虎に殺されようとしていた。
そして、白虎の腕が振り下ろされる—
「秋夜、ごめん……!!」
俺は目をつぶった。
来る………!!
………………
おかしい、来ないぞ。
おそるおそる目を開けると、白虎の腕は振り上げられたままだった。
「………!!」
「辻、諦めるナ!!」
麗鈴だった。
麗鈴が、白い虎の腕を止めていた。
ビーストアーマーで。
「麗鈴……!!」
「話は後ダ! 早くその女をかつぐンダ! 逃げるゾ!!」
麗鈴に促され、俺は慌てて烈火さんを抱えた。
「こいつは俺が止メル!! 行ケ!」
「わ…分かった」
俺は烈火さんを引きずりながら、なんとか脱出した。
麗鈴もすぐに飛び出してきて、なんとか全員脱出する事が出来た。
烈火さんはすぐに応急処置をしてもらい、前もって準備された担架に乗せられ先にコテージに戻っていった。
その様子を見ていると、麗鈴がこっちにやってきた。
「大丈夫カ、辻?」
「ああ、お前のおかげで助かった。ありがとよ」
無理矢理に笑顔を作ってお礼を言った。
「いや、いいんダ……もっと早く飛び込んでけば、あいつがあんな大怪我しなかったのニ…すまナイ」
麗鈴は暗い声で言った。
「いいんだ…俺だったら、助けになんか行けない。よくやってくれたよ、ホントに」
正直、冷静になってみれば、他の参加者達が逃げたことについては仕方なかったことなんじゃないかと思う。
この「SURVIVAL GAME」は逃げ場がないのが特徴といってもいいかもしれないしな。
誰もが、今まで極限を通り越した状態で戦ってきたんだ。
退けるチャンスがあったら、喜んで退くだろ。
「それに……」
「?」
麗鈴は首をかしげている。
「俺も烈火さんも生きてる……とりあえずは、それで十分だ」
そう自分に言い聞かせるのと同時に、俺は目を閉じた。
目覚めたとき、俺はベッドの上にいた。
「ここは………」
「コテージだ。お疲れさん」
天が、俺のベッドに腰掛けながら言った。
「天……烈火さんは?」
「しばらくは動けねえけど、命に別状は無いみたいだ。風上のやつは元医者なんだってよ」
烈火さんの無事を聞き、とりあえずはほっとした。
「聞いたよ。烈火と一緒に白虎の領域に取り残されたんだって? ったく、ひでえやつらだよな…」
「いや……それが、このゲームの本質なのかも」
その言葉に、天はしばらく黙っていたが……
「……ま、命はあったから深くは気にしないこった。どうせ元は敵同士だったしな」
笑顔でそういって、立ち上がった。
「もう少し休んでろ。しばらくしたら飯を持ってくる」
そして部屋から出て行った。
すると、入れ替わりのように、今度はミーナが入ってきた。
「辻君、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
ミーナは扉をパタンと閉めると、近くのいすに腰掛けた。
「すぐに、攻略に向かうみたい。今度は朱雀だって」
「そう、か……」
そう、まだ四神は2体残っている。
朱雀と、青龍。
「まだ師匠は目覚めないけど、私と天はもう大丈夫だから、行ってくる。辻君は休んでて」
「でも……俺も行かなきゃ」
するとミーナは首を横に振った。
「気持ちは分かるけど、ガマンして。辻君には師匠と烈火の様子を見てもらいたいの」
「ミーナ…」
「もし行くって言うなら、力ずくでも止める。もう、辻君の命は辻君のものだけじゃないから。命を粗末にするようなマネしても、喜ばない。何より、そんなことは秋夜が許さない」
「……それは」
「辻君は、最初から秋夜と一緒にいたよね。だったら、彼がどう思うか分かるはず」
俺は一瞬迷ったけど、答えた。
「分かりました。ここで待ってます」
「……ありがとう」
「ただし」
「?」
「ミーナも命を粗末にしないように」
そう言うと、ミーナはクスッと笑った。
「了解」
「さて、遠野秋夜」
案内人に導かれ、俺は巨大な門の前にいた。
「ここは?」
「現世へ帰るための道、蘇生の標だ」
つまりは、ここを抜ければ生き返れるわけか。
「具体的に、何をすればいいんだ」
「試練を乗り越えろ」
「試練って?」
「行けばわかる。さあ、行こうか」
案内人が指を鳴らすと、門がゆっくりと開き始めた。
「行くがよい、越える自信があるのならば」
ここを抜ければ、生き返れる……
俺は、真っ暗な道に向かって、一歩踏み出した。