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Re: SURVIVAL GAME 秋夜のクリスマス編終了!! ( No.333 )
日時: 2011/01/31 12:38
名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅹ 「試練の開始」

〜STAGEⅨまでのあらすじ〜

SURVIVAL GAME第3ステージ、4体の四神に挑む30人の参加者達。圧倒的な力を持つ四神の前に苦戦するが、どうにか「玄武」「白虎」から第4ステージ進出の鍵となる宝玉を手に入れる。一方その頃、黄泉に送られた遠野秋夜は生き返るべく「試練」をはじめようとしていた。






「何だ………ここは」

扉の中に入ると、そこには大きな扉があった。

扉には赤い文字で「一」と書かれている。

「一の門だ」

案内人が短く答えた。

「一の門って?」

「お前が現世に帰るためには3つの試練を突破しなければならない。その最初の試練へ続く扉だ」

俺は再び一の門を見た。

「あそこに入れば、試練が始まるんだな」

「そうだ。くれぐれも言っておくが、試練で命を落とせばお前の存在は完全に抹消される。当然二度と帰ることはできん。死者の世界で死ぬということは、現世の記憶からも消えるということを覚えておけ」

俺はつばを飲み込み、無言でうなずいた。

「では、入るがいい。私は二の門の前にてお前を待とう」

そう言うと、案内人の体はすっと消えていった。

「俺は……必ず帰るんだ。みんなのところへ」

俺は一の門の前まで走っていった。

一旦止まり、一の門を見上げる。

この扉の先に、皆への道が続く—

精一杯力を込めて扉を押した。

すると扉はあっさりと開いた。

中は暗くて見えない。

だが、何があろうと突破するしかない。

俺は滅華を片手に暗闇の中を走り出した。











不意に、周りが明るくなった。

「………!?」

俺は辺りを見回した。

相変わらず真っ黒な空間が広がっているが、俺がいる場所から半径100メートルほど広がっている床だけが照らされている。

どうやら来た道にも引き返せないようだ。

この円の中で何が起きるのか。

すると、突然声が聞えた。

『よくぞ来た。遠野秋夜、貴様に試練を与える』

「……誰だ!?」

声の主はどこにも見当たらない。

『ここは試練の間「力」だ。怒涛のごとく押し寄せる悪しき者を成敗せよ』

声はそれだけ言うと聞えなくなってしまった。

「おい! どういうことだ!?」

俺は上に向かって叫んだ。

だが、その瞬間、俺は視界の端にあるものを捉えた。

「……!!」

円の端に一匹、甲冑姿の鎧武者がいる。

日本刀を構え、殺気を放っている。

「つまり、こいつを倒せってことだな……」

滅華を構え、鎧武者に向き合う。

その瞬間、鎧武者の動きが止まった。

「……なんだ?」

その場で静止したまま、ピクリとも動かない。

俺は滅華を構えつつ、一歩前に出た。

鎧武者は俺が足を踏み出すと同時に、ぎこちない仕草で姿勢を低くした。

「やる気はあるみたいだな」

話しかけてみても、全く反応がない。

一気に潰すか……

俺がそう思ってさらに足を踏み出した瞬間—

「シャアッ!!」

咆哮とともに、鎧武者が一気に迫ってきた。

一瞬で、俺の目の前に到達する。

「ちっ!!」

ギリギリのタイミングで切っ先をずらし、返す刀で鎧武者を切り裂いた。

「グシャアアアアアア!!」

鎧武者は断末魔を上げ、そのまま倒れた。

もう少しで、やられるところだった。

肩で息を整え、倒れている鎧武者を見た。

血は出ていないようだ。俺はしゃがみこんで、兜を恐る恐る外した。

「これは……」

甲冑の中には何もなかった。

「幽霊武者………てことか?」

常識では考えられないことなど何度も遭遇してきたから、今更何も驚きはしないが、それでも不気味ではあった。

まあ、何にせよ…力の試練とやらは終わった。

あとは、ここから脱出する方法を考えないと。

滅華を鞘に収め、立ち上がったとき、後ろからガシャンという音が聞えた。

振り向くと、そこにはまた鎧武者が立っていた。

続けて、ガシャンと音がして、もう一体の鎧武者が円の縁から上がってきた。

他のところからも次々と鎧武者が上がってくる。

その数は留まるところを知らず、あっという間に数え切れないほどになった。

「なるほど………そういうことか」

怒涛のごとく押し寄せる悪しきもの。

それは、際限なく出てくる鎧武者のことを意味していたようだ。

やはり、そう簡単には進ませてくれないか……

俺は再び滅華を構える。

鎧武者はゆっくりと、着実に俺に近づいてくる。

「上等だ。全員叩き落してやる」














俺は静かに、鎧武者の群れに向かって走り出した。