ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME 黄泉帰り編開始!! ( No.336 )
- 日時: 2011/02/08 21:31
- 名前: いち ◆ovUOluMwX2 (ID: PmZsycN0)
STAGE ⅩⅠ 「無限の鎧」
「はあっ!!」
俺が滅華を横に振ると、鎧武者たちはボトボトと地に堕ちていった。
だがすぐに、次から次へと鎧武者は這い上がってくる。
「くそっ………どんだけいるんだよっ……!!」
もうどれくらい鎧武者と戦ったのだろうか。
その数は減らないどころか時間がたつに連れて増してくる。
しかも一体一体が驚くほどの身体能力を持っているので、たった数人円から落とすだけでも相当苦労する。
このままでは近い内に俺の体力が切れるのは明白だ。
すでにかなり息が上がっているのがわかる。
鎧武者の刀がだんだんかするようになってきた。
「くっ…………!」
俺は少し後ろに下がり、滅華を逆手に構えた。
「刃桜……!!」
無数の桜色の刃が滅華を包み込み、やがて1つの大きな刀となる。
俺はひるむ鎧武者めがけて、思い切り滅華を横に薙いだ。
「—鎌威太刀(かまいたち)!!」
巨大な刃は、群がる鎧武者たちを容赦なく薙ぎ倒し、引き裂いた。
「ふうっ」
俺は滅華を元の持ち方に換え、しゃがみこんだ。
新たな鎧武者は出てこない。
今度こそ、終わったか…………?
直ぐに体勢を立て直し、再び滅華を構えるが、それでも鎧武者は出てこない。
「終わったか……」
そうつぶやいた瞬間、地面が揺れた。
「………なんだ!?」
尋常では無い揺れだ。立っていられず、膝をついた。
何か、来る……!?
辺りを確認するが、何も見えない。
しばらくすると、揺れが収まった。
「一体何だったん—」
不意に、上から殺気を感じた。
反射的に上を見上げる。
「………な…」
何もないと思っていた上の方向。
漆黒に包まれ、天井らしきものは見えない。
だが、そこには1つの影があった。
紅く光る、大蛇のような細長い影。
「あれは…………」
まず見えたのは、6本の腕と6本の刀。
そして紅く光る身体、頭には今まで倒してきた鎧武者の兜。
異形としか言いようのない、怪物がそこにいた。
見ているだけでも身震いが止まらなかった。
怪物は3つの目で俺を見下ろしている。
「……!」
俺が滅華を構えた瞬間。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
空気が振動するような咆哮をあげた。
「くっ………」
あまりの衝撃に聴覚が一瞬無くなったように感じられた。
そして、怪物は動き出した。
6本の刀で俺を串刺しにせんと猛然と襲い掛かってくる。
瞬間的に受け止められないと判断した俺は、全力で前に飛んだ。
1秒前まで俺がいた場所に刀が突き刺さる。
「うわっ…!!」
信じがたいことに、今の突きで猛烈な風が吹いた。
鎧武者とは格が違う。
俺が風圧で止められている間にも、すぐに怪物は次の攻撃を仕掛けてくる。
「くそっ!」
俺は迫り来る刀をかわし、最後の一本の上に飛び乗った。
そのまま刀の上を走り、腕も駆け上がる。
「うおおおおおおっ!!」
刃桜を出して、再び滅華の周りに集結させた。
そのまま怪物の顔面めがけて飛び上がる。
「鎌威太刀っ!!」
飛び上がった勢いそのままに怪物の顔面に滅華を振りかざす。
が、怪物は予想もしない行動に出た。
突然、怪物の口の周りに光が集まり始めた。
「………!?」
俺はとっさに滅華を体の前に構えた。
その瞬間、ものすごい衝撃が襲ってきた。
巨大化した滅華でも勢いはとめきれず、俺は滅華ごと弾かれた。
「ぐあっ!!」
そのまま地面に叩きつけられる。
幸い骨はやっていないようだったが、今のダメージで一瞬意識が遠のいた。
俺は何とか持ち直し、よろめきながら立ち上がった。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
怪物は長い身体をくねらせて、かかって来いといわんばかりに俺をにらんでいる。
6本の腕を駆使した斬撃の連打と、驚異的な威力を持つ光線。
相当厄介な敵だ。
まずは奴の攻撃パターンを読みきることからはじめないと。
俺は滅華を構え、怪物をしっかり見据える。
怪物はゆっくりと刀を構えなおし、俺をにらむ。
一瞬の静寂が訪れる。
が、すぐに空気の流れが変わった。
「来る!」
怪物は一気に俺との距離を詰め、刀で猛襲してきた。
まともに受けてはいられない。俺は休むことなく迫り来る連撃をかわすので精一杯だ。
だが、俺は攻撃をかわしながらも、違和感を感じていた。
そう、奴の攻撃が何かおかしい。
だが、肝心の何がおかしいのかまでは分からない。
せめて、考える時間があれば……………
だが、怪物の攻撃はまだ続く。
ダメだ、このままじゃ……!!
一瞬、動きが止まった。
そこを逃さず、刀が振り下ろされる。
「うわあっ!!」
何とか横っ飛びで避けた。
だが、次の攻撃はすでに始まっていた。
すでに3本の刀が振り下ろされ始めている。
「ここまでか………!?」
いや、まだだ、俺は………!!
「俺は……死ねないっ!!」
叫んだ瞬間、頭痛のようなものがよぎった。
「うっ……何だ!?」
だが、すぐにそれは収まった。
「………!?」
そして俺は変化に気付く。
怪物の動きが、ゆっくりに……はっきりと見える。
これは………?
自分の動き、怪物の動き………そして、空気の流れ……
全てを感じ取れていた。
この時、俺は自分の目の色が茜色に変わっていることに気付いていなかった。