ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: SURVIVAL GAME  ( No.63 )
日時: 2010/05/05 21:51
名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅵ 「殺るか、殺られるか」

目の前の光景に、俺は見とれていた。

辻の周りに、無数の星が出ている。

あれがトリックスターの、真の姿、ということだろうか…?






なんだか、1つ1つの星全部と俺の感覚がつながっている気がする。

ためしに、星に「回れ」と心の中で命じてみた。

すると、星はその場でぐるぐると回り始めた。

「おおお…! 何かスゲー」

そして、止まれと命じると、星は止まってふわふわと浮かんだ状態に戻った。

「ほう……それが君のレアウエポンか…面白そうな武器じゃないか」

そうだ、今は俺が倒すべき敵がいる…

黒瀬だ。

「でも……そんな星で、俺のデーモン・ソードが防げるのかい!?」

言いながら、黒瀬は突進してきた。

俺は星に命じた。

目の前に集まって、俺の盾になれ、と。

すると星はいっせいに俺の目の前に集まり、大きな1個の星になった。

「集めたところで…無駄だ!!」

黒瀬が盾の向こうで攻撃を繰り出した。

だが—

「ぐわっ!?」

星は崩れなかった。

逆に、デーモン・ソードの攻撃ごと黒瀬を弾き飛ばしたようだ。

「な…そんなバカな! デーモン・ソードは鋼も切り裂く無双の剣のはずなのに…!!」

「アテが外れたみたいだな…」

俺は少しかっこつけて言ってみた。予想外に決まるもんだ。

「次は、こっちからだ!」

といっても、こいつで攻撃って何すんの??

うーん……あ、星ってなんかレーザー出そうじゃない?

俺は早速レーザーを放てと命じた。

すると…!!

「のわっ!!」

星がいっせいに黒瀬に向かって黄色い光線を放った。

出せるんだ、レーザー…

とっさに出したデーモン・ソードで防がれてしまったが、それでも黒瀬は数メートルは吹っ飛ばされた。

「よっしゃ!!」

俺、やるじゃん!!!






辻のトリックスターによる攻撃で黒瀬が吹っ飛ばされた。

「く、くそっ……こうなったら、桜花ちゃん、舞ちゃん、協力して攻撃…って、あれ?」

黒瀬がアホの子のように固まってしまった。

それもそのはず…

石切は俺が吹っ飛ばした時に頭を打ったのか、ピクリとも動かないし、如月も顔がパンパンになった状態で、目を回している。

要するに、俺たちは28チームに完全勝利した。

「で、どうする、黒瀬? まだ戦うか?」

「くっ……」

「今回だけは見逃してやる。時計を回収されたくなけりゃ、とっとと消えろ」

黒瀬は悔しそうにしていたが、やがて、

「お言葉に甘えるよ…」

とだけ言って、動けない2人を連れて去っていった。

「ねえねえ、秋夜、見逃しちゃって、良かったの?」

真理奈が聞いてくる。口にこそ出さないが、辻も同じ意見のほうだ。

「さっきの戦いで分かった。俺たちは案外恵まれた装備みたいだな…だから、相簡単に戦闘で負けることは無い…てことは、今のうちに恩を売って仲間を作ったほうが得なのさ」

「得って…何のために?」

「もちろん、このゲームの主催者を殺すためのだ」

「ええ…!?」

「本当かよ…」

2人とも唖然としている。

「本気だ。だが、相手はこんな今の科学をはるかに越えたような武器までほいほい支給できるようなやつだ。3人では勝ち目は薄い。だから、仲間が必要なんだ」

「じゃあ……」

「ああ、俺たちがするのは時計の回収じゃない、仲間を集めることなんだ」

「え? でも、最初に戦った人は…?」

「あのチームは、全員が普通の武器だった。そんな装備で戦って勝てる相手じゃないんだ、主催者は…それに、ああいうやつらは信用できない」

「え? でも、わかんないじゃん? 意外といい人かも…」

「それは無い、やつらは女の真理奈相手でも平気で殺そうとするような人間だ。そうじゃなかったら、普通に見逃してたさ」

「へー、頭良いんだな、秋夜って…まだ高校生だろ?」

辻が感心したように言う。

「ああ、まあな……」

正確に言えば、普通の高校生じゃないんだけどな…

ま、そのうち話す機会もあるだろ。

とにかく今は、他のレアウエポンを持ってるチームを探さないと…

「ふう…それにしても、腹減ったな…」

辻がポツリと漏らしたその一言で、俺はとんでもないことに気付く。
























このゲーム、食料の支給がない…

残り88チーム