ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME ( No.66 )
- 日時: 2010/05/06 21:06
- 名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)
SCENE Ⅶ 「食糧危機」
このゲーム、食料が無い。
うかつにも、そんな大事なことに気付かなかった。
それに、バッグも必要だ。今はまだ武器と地図とコンパスしかないが、そのうち荷物も増えるはずだ。
その時、何かバッグのようなものも必要なはずだ。
こうして考えれば、いろいろとやるべきことは多い。
「…とりあえず、食料だ。地図を見て、食料がありそうなところを探そう」
俺は2人にそう指示して、地図を広げる。
「うーんっと……あ!」
真理奈が何か見つけたようだ。
「どうした?」
「ここ、この宝箱、食料のマークじゃない?」
指差す宝箱には、骨付き肉のようなマークが描かれていた。
場所は、南西の端、ここからそう遠くない。
「行ってみよう」
そう言って、移動を始めた。
南西の端には、30分程度で着いた。
「……あれか」
宝箱が、まとめて6つ置かれている。
「なんだろなー」
真理奈が早速近づいて宝箱を開ける。
中に入っていたのは、手のひらほどの大きさの、丸くて薄い物体だった。
「何だそれ?」
辻が真理奈と一緒にその、円盤に似た物体を眺める。
俺が箱を覗くと、底に1枚の紙があった。
読んでみると、次のような内容だった。
『このアイテムは、食料円盤です。
この円盤は、無限に食料を作り出すことができる画期的な補助アイテムです。
側面にあるスイッチを入れて、食べたいメニューを言ってください。
そうすれば、円盤から指定したメニューが出てきます。
飲み物なども、出てきます。
チームに1つあれば、十分ですが、万一はぐれた時のことを考えれば、1人1つが理想でしょう。
それでは、ゲームで勝ち残れるよう、がんばってください』
俺は読み終えると、他の箱も開けてみた。
すべて食料円盤だった。
俺は2つとって辻にもう1つを渡した。
「食料だ」
「ええっ!? まじかよ、食べ物には見えないぞ?」
「良く見てろよ」
俺は説明書の通り、側面のスイッチを押した。
すると、円盤は青く光った。
俺は円盤を地面に置くと、
「カレーライス」
と言った。
すると、円盤の上に何かが姿を現し—
カレーライスが出てきた。
「おおー!!」
「スッゲー!!」
「お前たちもやってみろ」
早速2人は円盤を使い、
真理奈はあんパン、辻は焼肉定食を出して、食べ始めた。
とりあえず、食糧危機は免れた。
次は、バッグがあればいいのだが……
「ねえ、秋夜、あれ何?」
真理奈が指差したのは、開いた宝箱のふたの内側にあるスイッチのようなものだった。
「さあ…見てくる」
俺は宝箱に近づき、スイッチを良く見てみると、
『バッグです。必要ならボタンを押してください』
と書かれていた。
かゆいところに手が届くってこういうことだな。
俺は迷わずボタンを押した。
すると、少し小さいが、地図や円盤を入れるには十分すぎるサイズの、赤いリュックサックがどういうわけか宝箱から飛び出した。
「バッグもOkだ」
俺は残りの宝箱からも、バッグを2つ回収して、2人に渡した。
使えるかもしれないので、円盤も一応全部回収した。
やがて、2人が飯を食い終わるころ、とりあえず移動しようと立ち上がった時—
突然右から人影が突進してきた。
「—っ!!」
俺はとsさに、横に転がることで、かわした。
2人は特になんとも無い。
「ホウ…かわしたカ」
突進してきた人影が、こちらを向く。
俺よりも2つほど年下のようだ。だが、とても子供とは思えない殺気を発している。
「俺の名ハ張麗鈴、14チームダ」
カタコトだ。日本人にも見えるが、中国人だろうか?
「不意打ちは良くないぜ…感心しないな」
俺は落ち着いて、会話から情報を引き出しうとしてみる。
「フン、それがどうしタ。俺は勝つためナラ何でもスル。何でもダ」
なるほど、手段を選ばないタイプか……
「ところで、仲間はどうした?」
「フン、あんなヤツら、役立たずだから置いてきタ」
自分の力を信じるタイプか……
「3対1で、勝てると思うか?」
「5人いてもいいくらいダ」
そして最後に、無謀……
「あっそ、じゃ、あの世でゆっくり後悔しろ」
とは言っても、殺す気はないが。
俺は日本刀を抜き出した。
どうでもいいが、これ、武器名はなんだ?
「ウルサイ! 後悔するのオマエ! 覚悟シロ!」
麗鈴はまたまっすぐ突っ込んできた。
悪いな、容赦はしねえぜ
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