ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: SURVIVAL GAME ( No.84 )
- 日時: 2010/05/09 12:45
- 名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)
STAGE Ⅷ 「外道の正義」
簡単に、結果から言おう。
突然襲ってきた中国人風の少年、張麗鈴との戦闘は、俺の圧倒的勝利に終わった。
麗鈴はスピードこそ並外れていたが、真っ直ぐ突っ込むことしかできないため、カウンターを1発入れただけで勝負は決してしまった。
で、こっからは平和的な話し合い。
「……仲間が腹へって動けナイ。だからお前たち襲っタ」
麗鈴の話を要約すれば、こういうことだ。
役立たずだから置いてきた、という話はあながち嘘でもなかったらしい。
少々口も悪いし、汚い手を使ってくるようなやつだが、仲間を思いやる気持ちぐらいは備わってるみたいだな。
「まあいいや、とりあえず仲間のところへ案内しろ」
「何する気ダ?」
「食料をやる」
俺はバッグに入っていた予備の食料円盤を1つ持ち出して、麗鈴も立たせた。
「何ダ?」
「後で説明する。時計は奪わないから安心しろ」
そう言うとやっと麗鈴は歩き出した。
「真理奈と辻はここで休んでてくれ」
そう指示を出して俺は麗鈴のあとについていった。
15分ほど歩いたところに、洞窟があった。
そういえば、南側の森には、洞窟があったな。
「この中ダ」
麗鈴はさらに洞窟の奥へ入っていく。
すると、急に
「誰だ?」
という男の声がした。
「俺ダ、君津」
麗鈴がそういうと、突然懐中電灯がつけられた。
そこには、1人の男と、女がいた。
「麗鈴、この人は?」
「紹介スル……って、まだ名前聞いてナイ」
その言葉で男はズルッとこけた。
「聞いてないのかよ!」
なんか、突っ込み方が、素人だ……
「……俺は、遠野秋夜だ。よろしく」
「おー……秋夜君か! 高校生??」
「一年だ」
「おう! 俺のほうが1個上だ! 何でも頼ってくれたまえ!」
……こいつ、辻に似てる…
それが、俺の第一印象だった。しいて言えば、辻はこんなにおせっかいな雰囲気は出してないというとこが違うところか。
「で、名前は?」
「籐梅君津、よろしく!」
「……よろしく」
俺は一応握手をすると、すぐに女のほうに目を向けた。
「えっと……蚯蚓和歌穂、です……」
「ほら、もっと大きい声で言エ!」
すかさず麗鈴が鋭い声を上げる。
「ひゃうっ! ごめんなさい……蚯蚓、和歌穂ですっっっ!!」
今度は洞窟中に響き渡る声で言った。
「バカ、うるサイ!」
「ひゃううう……」
麗鈴は蚯蚓をいじめるのが趣味なのか??
「ほらほら麗鈴、和歌穂ちゃんまた泣いちゃうから、そのへんにして」
籐梅が持ち前のおせっかいを発揮している。
………このチーム、大丈夫なのか?
何か、もう帰りたい気分だったので、早速食料円盤の使い方について説明することにした。
「お〜、本当に、飯が出てきた!」
「うわあ……すごい、です…!」
「コレは……予想以上ダ…!」
よほど腹が減っていたのだろう、3人はあっというまに飯を食べ終わった。
ちなみに説明し忘れてたが、食べ終わると食器は自動的に消える。
「ふう〜ごちそうさま!」
「おいしかったです…! あ、ありがとうございます…!」
「一応礼は言っておコウ」
「どういたしまして、それはやるよ、大事にしな」
ま、どんな形であれ、こいつらが何とか生き延びることを祈るのみだな……
「じゃ、俺はそろそろ…」
「ちょっと待ってください!」
洞窟の入り口のほうから、3人組の男がやってきた。
「僕たちにも、食料を分けてもらえませんか?」
真ん中の男がこちらに歩み寄ってきた。
「誰だ、あんた」
俺は日本刀を構えながら聞く。
「僕は、5チームの永世銀河だ」
「……こっちに来い」
永世はこちらに歩く…かと思いきや、
「……死ねっ!!」
いきなり、何かの噴射機のようなもので白い煙を噴射した。
「危ない!!」
俺はとっさに3人を押したおしながら、日本刀で噴射機の向きを変える。
「おっと、なかなかいい反射神経だね」
永世はそう言って笑った。
俺は後ろを振り返ると、そのまま固まった。
壁が、ガチガチに凍っていた。
「氷漬けにならなくて、よかったですねえ?」
「……麗鈴以上の外道だな…」
「あんなのと一緒にスンナ!」
麗鈴がわめいているが、無視して俺は質問をした。
「行けるか、3人とも」
「な、なんとか……」
「がんばります!」
「腹ごしらえはすんダ! いつでもいけル!」
「結構だ」
そして、14チームと俺対5チームの戦闘が始まる—!!