ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: SURVIVAL GAME  ( No.90 )
日時: 2010/05/13 20:43
名前: いち ◆mBjthR0pMA (ID: PmZsycN0)

STAGE Ⅸ 「秋夜・和歌穂の戦い」

仕掛けたのは、5チームのほうからだった。

「喰らえ!」

永世が冷凍ガスを噴射する。

だが、俺たちは素早く散らばることで回避した。

しかし—

「今だ!」

永世の指示でほかの2人が動いた。

ちょうど、こっちが散らばったところで、個々の戦闘に持ち込むつもりか。

おそらく、こちらには年齢の低い人間しかいないのを見た上での作戦だろう。

どうやら、敵にもなかなかの策士がいるらしい。

俺たちは3つに分かれてしまい、それぞれ敵の狙い通りに個々の戦闘に持ち込まれてしまった。

永世と俺、蚯蚓。

籐梅とメリケンサックを持った男。

麗鈴は銃を持った男だ。

「さあ〜て、か弱い女の子を守りながら僕に勝てるかな?」

永世が冷凍ガスを噴射しながら言う。

「勝つさ」

俺は蚯蚓を連れて横っ飛びしながら言う。

この洞窟にはそこら中に穴が開いている。まるで迷路のようだ。

とりあえず、近接武器と遠距離武器のハンデはない。

後は、どう近づくか……

俺は近くにあった穴に蚯蚓を押し込みながら入った。

「おっと、逃げようったって、そうは行かないぜ?」

俺はとりあえず無茶苦茶に穴から穴へと逃げ回る。

5分ほどたったところで、永世の姿が見えなくなった。

俺はしゃがみこみながら、蚯蚓の無事を確認した。

「大丈夫か?」

「は、はい……」

とりあえず作戦を立てなければ。

「蚯蚓、武器はあるか?」

「一応、銃がありますけど……」

そう言って蚯蚓は銃を出してきた。

「使えるか?」

「いえ……すいません」

もともと女の子に銃が使えるわけもない。なのにそんな質問をしなければならないことに俺は若干の憂鬱さを感じた。

「あの……遠野さん?」

「い、いや、なんでもない、とりあえず、蚯蚓は休め。俺はその間に作戦を考える」

「はい……」





20分後、俺は作戦をまとめた。

「蚯蚓、行くぞ」

「は、はい!」

俺は銃を持って、ゆっくりと前に出た。

「見〜つけた!」

永世が突然横から冷凍ガスを噴射させる。

俺は横に転がりながら、銃を1発撃った。

「銃!?」

慌てて永世が穴に隠れる。

俺たちも穴に入って、そのまま走り出す。

当然、永世も追ってくる。

だが、暗くて前は見えないはずだ。

俺は素早く

「撃て! 蚯蚓!」

と叫びながら、自分で銃を撃った。

そして—!!







くそっ、厄介な銃だ!

僕は2人を追って洞窟を進む。

あの日本刀の男は、油断できない。

さっきからガスを何回もかわしている。

しかも、銃を撃っているのは女のほうだ。

用心して進まなければ。

そのまま進んで、角で曲がった時だった。

銃を構えた蚯蚓とか言う女が、目の前にたった。

「ここから先へは、行かせません」

ちっ。日本刀の男はこいつを盾にして逃げたのか。

「……そこを通してくれないか? 通してくれれば君に危害は加えない」

俺はとりあえず、女を説得しにかかった。

「いいえ、通しません!」

くそ、こうなったら—










「よう、そこまでにしとけよ、偽善者」

「何!?」

一体、どういうことなんだ。

何で、日本刀の男が俺の後ろにいる………!?






どうやら、永世は完全に引っかかったようだ。

俺が蚯蚓に頼んだこと、それは—







銃を構えたまま、その場を一歩も動くな、ということだ。

蚯蚓が銃を使えないことを永世は知らない。

だから、さっきみたいに、銃を構えて立っていた蚯蚓を見れば、永世は動けない。

撃たれるのが怖いから。

さっき俺が「蚯蚓、撃て!」といいながら銃を撃ったのは、このときのための伏線だった。

永世に蚯蚓は銃を使える、と錯覚させるための—



そして、俺は蚯蚓が永世を止めている間に後ろに回りこんだってワケだ。





「くっ。そういうことかよ。うちの軍師君よりも頭良いかもな」

「そりゃどうも、お前には死んでもらいたいところだが、俺の目的のために生きててもらう。時計も奪わない」

「ちょっと待て、目的って—

「話は終わりだ」

俺は永世の首に手刀を入れて、気絶させた。

これで、こっちの決着はついた。

















さて、他のヤツらも、無事かな……?

残り68チーム