ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 漆黒のヤンデレ唄〜終わり無き迷宮〜 ( No.13 )
- 日時: 2010/05/02 19:42
- 名前: 寧 (ID: nWEjYf1F)
第7話 裏人格
(那賀渉蛇・語り)
「美仙。うちの副部長、どう思う」
「……もう、いつもの調子じゃなくなってますねぇ。鬼部長のお守りさん」
美仙は、どことなく笑っているような気がした。それも恐ろしいくらいに純粋な目で。
「お前の目から見ても、そう思うか」
「はい」
「……こりゃやばいな」
「何がですか、鬼部長・那賀さん」
「……そうか、あの時は、てめぇはクラスが違ったからな、美仙さんよぉ。……いいさ、ついでだから教えてやる。3年前の悲劇をよ」
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そう、あれはまだ、俺たちが小学生だった頃の話だ。
あの時は、まだ俺も純粋だった。
「孤立の悪魔」だって、他の奴らと堂々と遊んでいたし、”あの”月埼にも友達が大勢いた。
そんな中。副部長……いや、北條祢々は唐人原高地(とうじんばら・こうじ)に恋をしたんだ。
北條は、よく物陰から唐人原の事を見ていた。
ああ見えて北條は内気だからな。自分に素直になれなかったんだろう。
そんなあいつの性格が災いしたのか、結果的には唐人原が北條の気持ちを知る事はなかった。
どころか、唐人原は外国に引っ越しちまったんだ。
そして北條は我を忘れ……鬼と化したんだ。
あいつは「鬼のお守り」じゃねぇ。本物の「鬼」なんだよ。
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一通り俺が話し終えると、美仙は震えていた。
「……ほ、北條さんにそんな過去があっただなんて。と、いう事は……」
「あぁ、今回も恐らく、そんなことになっちまうだろうなぁ。あー、面白い」
「何が面白いんですか!」
「!?」
美仙は俺の肩を掴んで言った。こいつ、見た目のわりには力あるなぁ。何が学校のアイドルだ。
「このままじゃ……月埼くんは、北條さんに……っ! 月埼くんが、危ないです!!!」
「……ふ〜ん。そういうことか、学校のアイドルさんよぉ?」
「……!!」
「まぁ、心配すんな。この事は他言無用にしといてやる。その代わり……」
「その代わり……?」
「てめぇに協力してもらいてぇ事がある」
続く