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Re: 漆黒のヤンデレ唄〜終わり無き迷宮〜 ( No.23 )
日時: 2010/05/09 11:25
名前: 寧 (ID: nWEjYf1F)

第11話 妹、妹、一周廻っても……妹。
(篠坂千秋・語り)

あれは、美仙……もとい、学校のアイドルがまだ3歳の頃。
彼女には、まだ、”幸せ”があった。
彼女の右には、父。左には、母。
そして、妹。

彼女の妹は、その頃から大病を患っていたのだが、死に至るまでのものでは無く、毎日を特にこれといった不安を持つことなく過ごしていた。

しかし、そんな日々は長くは続かなかった。

彼女の妹は……車に轢かれ、死んだ。
無残にバラバラになった血まみれの妹をただただ見ることしかできなかった美仙。
その日から、美仙は家から出ようとはしなかった。
彼女は、誰よりも、何よりも、妹を大切にしていたから。

しかし、彼女は、家の隣に引っ越してきた月埼の事を好きになり、奴と毎日会うために学校へ通い始めたそうだ。


「……篠坂さん……いや、孤立の悪魔。そのことをなぜ貴方が知っているんでしょうか」
美仙さんは、あからさまにこっちを睨みながら言った。
「それは秘密。ま、どっち道あとで分かるだろうし?」
「……っ! 今どうしてそれを言うんですか! ここには月埼君がいるじゃないですか……馬鹿、馬鹿、篠坂さんの馬鹿!」

そう言うと、美仙さんは、その場にしゃがみこんでしまった。

「……すまん美仙。俺、お前の気持ちには、答えられない」
月埼は冷めきった顔で言った。さすが冷えた眼鏡。あ、皮肉で言ってるんだよ?

「……わかりました。でもこれだけは覚えていてください。美仙家を敵にまわすということは、貴方に未来はもうないということですよ。月埼君……いえ、ここは旭原君と言ったほうがよろしいでしょうか?」

「!!」

……美仙さんには、侵略結婚のこと、教えていない。
……なんで知ってる?


続く