ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 阿修羅姫と鬼神。(オリキャラ募集中です!) ( No.25 )
日時: 2010/05/05 15:44
名前: 薔薇薔薇娘 ◆Mu2zZKM5c. (ID: F35/ckfZ)

第伍話「戦の前日」

「お願い! お姉さんと怖いお兄さん! 僕も仲間に入れて!!」
こんな、わけのわからない時代で死にたくないよ!!
「……構わんか?」
「私は問題ありません」
「ならいいが……。貴様、武の方はどうなんだ?」
「……武?」
戦うってこと? 僕、戦ったこと無いよ?
「武はそうでもないようだな。では、知か?」
「……知?」
知って頭? 頭がいいか悪いか? 悪いよ、物凄く悪い。
「それもないのか? では、どうやってこの世を生き抜いた?」
「……アルバイト?」
コンビニとか、本屋とか、レンタル屋とか?
「「アルバイト?」」
聞きなれない単語に二人は首をかしげる。
「まぁ、何の能力もなくて良いではありませんか。武も知も、これから教えれば済むことです」
「……だな」
勉強と鍛錬だ。鍛錬を欠かさなければ強くなる。勉強の方は1日1つ新しいことを覚えるだけでいい。
「えっ、いいの?」
「はい」
「ありがとう!! 何ができるか解らないけど、絶対何か役に立つようになるから!」
「それでは、早速兵法を学んで下さい。陣形や軍略。伏兵の配置、拠点の守りなど……。戦に生きるのならば学ぶことはたくさんあります」
「うわ…」
陣形? 軍略? 伏兵? 拠点? そんなの、大昔の話じゃん。いや、ここ大昔だけど。
「明日には戦がある! お前はここで城の守りだ!」
「いや。僕、戦えないから……」
「それなら俺達が全力で敵と向かうだけだ。お前は城で大人しくしていろ」
「はーい」
何もしない方がいいよね。死にたくないし。
「何かあった時にどうぞ。私が昔使っていたものですが」
「うぇ? 重っ……!?」
貰ったのは死神が持つような錬で、真っ黒だった。
「黒錬です」
「あ、ありがとう……」
貰っても使えないけど…。まぁ、鍛錬で上手になればいいんだよね!
「明日には戦だ。もう寝るぞ!」
「……あの寝台でどうやって3人で寝るのです」
「お前が美麗の上で寝ろ!」
「はぁ?」
なんでそうなるの。
「ところで……。名は何と言うのです?」
「雅焔。嘉神 雅焔」
「雅焔様ですか。では、これから色々なことに精進して下さい」
「はーい!」
雅焔様なんて呼ばれるの初めてだな〜。様付けなんて、偉い人みたい!
そして、影虎に言われたように眠った。雅焔様は「ごめんね、重いでしょ?」と言ってきましたが、戦では体格のいい武将が身体の上に乗ってきたりしますからね。あの程度では平気でした。

「雅焔、城の守りは任せたぞ」
真っ黒い愛馬、悪鬼に跨る。
「うん。気をつけてね!」
「では、そちらに敵が向かわないように気をつけますが、万が一の時はその錬で応戦して下さい」
燃えるような赤毛の馬、赤兎龍せきとりゅうに乗る。あの呂布が乗っていた赤兎馬と同じく名馬だった。馬中赤兎馬の再来と呼ばれる馬でもあった。
「うん!」
今日、朝早く起きて美麗さんに教えてもらった。

「行くぞっ!!」
手綱を思い切り馬に叩きつける。
「頑張ってねー!!」
だんだん小さくなる二人の背中が見えなくなるまで、城の前に立っていた。