ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 阿修羅姫と鬼神。(オリキャラ募集中です!) ( No.39 )
- 日時: 2010/05/08 15:07
- 名前: 薔薇薔薇娘 ◆Mu2zZKM5c. (ID: F35/ckfZ)
第拾話「神の花嫁」
『名誉ある美麗よ、今よりここで暮らすことになる』
『はい……』
『それでは、神の嫁になったことを名誉と思いながら、神のもとで朽ち果てるがよい』
『神のもとで死ね』そういう意味であった。
『はい……』
「……」
あれは私……。影虎様もいらっしゃった……。一体、何が起きているというのです……。
『寒い……』
神の嫁といっても、本当は死なせるためで。部屋にいろりなどなく。食事もなく。死ぬための部屋といっても過言ではなかった。
『美麗!』
『影虎様……?』
なぜ、ここに……?
『大丈夫か? 着替えと飯だ』
走ってきたのか、息が上がっていた。
『影虎様……。ありがとうございます』
『美麗……』
『はい?』
『俺にもっと力が付いたら、ここから逃げ出そう。約束だ』
もっと戦で戦功を立てて、この力がもっと認められたら……。たとえ父上を殺しても、この村を滅ぼしても美麗をここから救い出す。
『……はい』
『寒いか? 布団も持ってきた』
『……ありがとうございます……』
この方の優しさをもっと感じることができた。この方は優しいお方。ですが、村人は彼を恐れる……。何故でしょう……?
そして、影虎様は毎日、食事と着替えを持ってきて下さった。
『美麗、そろそろここを抜け出せる』
『……影虎様、努力してましたからね……』
あの5つ祭りから4年が経った。村人は、もう完全に美麗は死んだと思っているだろう。
『……何か村で起きました?』
最近、少し変だった。村人の叫び声が、村から離れたここにまで聞こえることがある。
『あぁ……。雨が降らず、米ができなかったりするな。あと、夏は暑すぎて死ぬ奴も出てくる。冬には蓄えがなく、死ぬ奴もいるな』
『大変ですのね……』
この時の二人は知らなかった。
実は村人は、神を呼べるという胡散臭い者に神を呼んでもらい、神の言葉を聴いていた。
『この1週間で、この生活が変わらなければ美麗は生きている。その場合は、天に背いた罪として生き埋めにして殺せば、村の平和は戻る』
と……。