ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.108 )
- 日時: 2010/06/14 20:16
- 名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: 0BucpTCd)
第17話『絶対! 死守宣言』
少女たちの顔が、一気に青ざめる。
さて、さっさと終わらせますか。
彼とは、あまり一緒にいたくないのでね。
「ま、待ってよ! 何、消すってどういうこと!?」
べリアルは、明さんの問いに、ため息をついた。
「……多分、貴方達の想像していることと同じですよ。大丈夫、墓位は作ってあげますから」
ベリアルはそう言って、明さんと和美さんの手首をつかむ。
明さんは、必死で手を振り払おうとするが、べリアルは手を離そうとはしない。
バキッ、と、なにかが折れた音がする。
べリアルが、明さんの手を思いっきり変な方向に曲げた、その時に折れた骨の音であろう。
……うわぁ……。
「キャアァアァアァアァアアァァァ!!!?」
「……貴方の骨、柔らかいですねぇ」
べリアルが、悲鳴なんて気にせずに、笑顔でそう言う。
あぁ、彼は良心はあっても、神や天使に対して友好的であっても、腐っても悪魔ということか。
天使の顔をした彼の笑みは、挑発的なほどに美しく、冷たかった。
さて、こっちはこっちで、沙希さんの相手をしなければいけませんね。
そう思いながら、逃げられないように、沙希さんの手首をつかむ。
沙希さんは、恐怖で声が出ないようだが……。
それは、僕にとっては都合がいいことだった。
女性の悲鳴はあまり聞きたくないし、誰か呼ばれたら困りますしねぇ。
あぁ、でも、バキバキというこの不快な音も聞きたくない。
多分、べリアルが明さんと和美さんの骨を折っているんだろうな。
僕はそう思いながら、沙希さんの腹にナイフを突き刺す。
ついでに、悲鳴を上げないよう、口をガムテープでふさぐ。
……これで、時間がたてば、沙希さんは終わりだ。
そう思いながらべリアルの方を見てみると、明さんはべリアルの足元で倒れていて、和美さんは気絶しているようで、何もいわない。
明さんの足は傷だらけだ。多分、もう使い物にならないな。
和美さんは……顔が青白い。べリアルは、こちらを見て微笑んだ。
「……この人達は、もう要りませんから。全部貴方にあげますよ」
べリアルはそう言って、公園を出ようとする。
「待ってください」
僕は、べリアルを引きとめる。
べリアルは、困った顔をしてこちらを向く。
「なんですか? そろそろ帰らないと、御主人に何を言われるか、わからないのですが……」
ベリアルがそう言い、小さなため息をつく。
「貴方、主人がいるんですか?」
「えぇ、そうですが……貴方には関係はないでしょう?」
べリアルがそう言って、公園から出ようとする。
僕に関係ない、というわけでもない。
「関係あります。貴方の御主人、貴方に人を殺せと命令したのでしょう?」
それを聞いて、べリアルは苦笑した。
次の瞬間、べリアルの笑みは崩れ、凍りつくような眼で僕を睨んでいた。
僕に突き刺さるその視線は、さすが悪魔といったところだろうか。今にも、骨の髄まで凍りつくされてしまいそうだ。
「言っておきますが、主人に手は出させませんよ。主人に何かしたら、私だって、本気で怒りますからね」
べリアルはそう言い、公園を出て行った。
僕はベンチに座り、服のポケットから、携帯電話を取り出す。
これは、舌切雀に運んでもらおう。
そう思いながら僕は、携帯電話を開いた。