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Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.28 )
日時: 2010/05/08 11:56
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: qcI1n3YR)

第5話『犬猿の仲』


ここはごみ捨て場。テレビやら、ベンチやら色々捨ててあって、誰も夜はここには来ない。
僕は人間を食べるときは、いつもここで食べる。
そこらへんにあるソファーに座って、綺麗な星空を見ながら夜食を食べる。
人間が夜景を見ながら食事をするのと同じようなものだ。

食事が終わって、3人の骨をビニール袋に入れる。
はぁ……、美味しかった。
チョコって子はちょっと噛みごたえがなかったけど……。
まぁ、人間の肉が食べられたんだし、文句は言わないことにしよう。
そう思いながら、リンゴの指の骨を咥える。
すると、誰かが肩をトントンと叩く。
首を後ろに向けると、茶髪の少年がいた。

「アリス、またそんなもの食べてるのですか?」

「おや、貴方は……えっと……べリアルでしたっけ?」

「貴方、2日会わないだけで私の顔を忘れるんですか?」

僕の答えに、べリアルは笑顔を若干引きつらせながらそう聞いてくる。
あぁ、そう言えば、2日前に……殴り合いをしたような気がする。
僕は、べリアルが大嫌いだ。触れられたら、殴り飛ばすほどに嫌いだ。
いや、そんな例えじゃあ、まだ甘い。目があっただけで殺意を覚えるほど嫌いだ。
べリアルは、人間を堕落の道に引きずり込む悪魔だ。
僕にとっては、人間が堕落するのは嬉しいことだ。悪い子がたくさんいれば、食べ物に不自由はしない。
でも、べリアルは聖域を汚したすし、人が怒る様子を見て楽しむという、悪趣味なところが気に入らない。
僕も神につかえているんだから、聖域を汚したりするやつは許せない。
できれば、ソロモン王に封印されて、そのまま一生壺から出てこなければよかったと思う。
……この人、帰らないんですかね?

「あの、貴方、もう帰ってくださいませんか?」

僕がそう言ってため息をつくと、べリアルは嬉しそうに笑った。
……あぁ、この人は悪魔だから、不の感情が大好きなんだった。
今、僕が怒っているのを見て、笑いをこらえていたんだ。きっとそうだ!

「……僕、もう帰るので。失礼します」

「おや、もう帰るのですか?」

「えぇ、さようなら」

僕は、精一杯の作り笑顔でべリアルにそう言った。
べリアルは、楽しそうにクスクスと笑っている。
駄目だ。無理して笑顔を作っても、あの人には逆効果だ……。
多分、僕はあの人とは絶対に仲良くなることはないだろう。
僕はそう思いながら、ごみ捨て場をあとにした。