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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.39 )
- 日時: 2010/05/09 11:43
- 名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: y90Df8N6)
第6話『無言の少年』
コンコンとドアをノックする音が聞こえる。
「どうぞ」
僕がそう言うと、キィ……と音を立てて、ドアが開く。
ドアの向こうには、短い茶髪の少年がいた。
少年はドアの前で立っているだけで、部屋には入ってこようとしない。
用事があるなら、部屋に入ってくればいいのに。
そう思いながら、僕はため息をついた。
「そんなところに立ってないで、部屋に入ったらどうです?」
僕が少年にそう言うと、少年はコクリと頷き、部屋に入り、ドアを閉める。
「で、用件はなんですか?」
僕がそう問うと、少年はメモ帳とペンをパーカーのポケットから取り出し、メモ帳に何か書き始める。
書き終わったのか、ペンをパーカーにしまい、メモ帳の紙を破ってくしゃくしゃに丸め、こちらに投げる。
くしゃくしゃになったメモ帳を開くと、小さな字で何か書いていった。
魂を回収してきたなら、僕が天まで運ぶから、今日中に渡してくれ、か……。
それくらい、口で言ったらいいのに、と思いながら、三人の魂の入った白い袋を鞄から取り出す。
この少年は、いつも喋らない。何があっても、声一つ出そうとしない。
そんな少年の姿を見て、天使たちは少年をこう呼んでいた。
舌切雀。
僕も、少年の事を舌切雀と呼んでいる。
なにも喋らない彼には、ぴったりのあだ名だと思う。
僕から魂の入った袋を貰うと、舌切雀は部屋から出て行った。
……さて、僕は今度のターゲットを探すとしよう。
僕はそう思いながら、パソコンを開いた。
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