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第７話『死のチャット』


　　〜少年アリスさんが入室しました〜

……なんか、いつも思うけど、自分にさん付けというのも妙なものだ。
そう思いながら、キーボードで文字を打つ。


少年アリス≫こん。
リリー≫こん。


ん？　この子、確か……リンゴ達に虐められてた子だな。
昨日は来てなかったけど、また来たのか。
……多分、今日も虐められるのを覚悟してるのに、虐めに立ち向かおうとしてる。
強い子だな、と思った。


リリー≫あ、貴方、この前の……。
少年アリス≫うん。虐め反対派のアリスだよ。
リリー≫大丈夫でしたか？　リンゴ達にあんなこといて……。
少年アリス≫別に、なにも言われなかったよ？
リリー≫そうですか……。


チャットなら、文字を打ち込むだけだから、何とでもいえるが……。
なにも言われなかった、という事実は一切ないんだけどね。
……あ、そうだ。
リンゴ、確か死ぬ間際に、リリーさんに謝ってたし、そのこと伝えておこうかな。


少年アリス≫そういえば、リンゴさん、リリーさんに謝ってたよ。ごめんなさいって。
リリー≫へ……!?　あのリンゴが、そんなことを……。
リリー≫リンゴはそんなこと、死んでも言わないような人間だと思っていたのに……。


いや、死ぬ前にちゃんと言いましたから。
っていうか、リンゴはどういう風に見られてたんだ？
死んでも謝らないようなって……、すごく傲慢な感じだな。


リリー≫そういえば、リンゴ、昨日死んじゃったみたいなんです……。
少年アリス≫なんでリリーさん、リンゴさんが死んじゃったって解るの？
リリー≫リンゴと同じ学校に通っていたので。そう言えば、このチャットである人と話すと、死んじゃうって噂が……。


……僕？
僕だろうな、それは。
僕の場合、肉だけ取れればそれでいいし。あとは、骨を少し持っていくだけ。
だから、リンゴの臓物は多分家に残ってる。


少年アリス≫へぇ……それは怖いね。
リリー≫ですよね。そんな噂があるから、このチャット、死のチャットなんて呼ばれちゃってるんですよ。


……死のチャット、か。
僕は青いその文字を見て、クスリと笑い、退室ボタンを押した。