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Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.48 )
日時: 2010/05/16 10:59
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: 6afFI3FF)

第8話『八咫烏の使者』


退室ボタンを押してから、僕はこのチャットにもう1つ部屋を作った。

チャット内に並ぶ青い文字の中に、1つだけ紫の文字があった。
それが、僕の作った新しい部屋、アリスのお悩み相談室だ。
この部屋では、僕が誰かの悩みを解決する。
これで、虐めなどの悪いことをしている子の事が解るかもしれない。

とりあえず、作ったのはいいが……。
僕に答えられないような質問などがきたら、一体どうしよう? と今更考える。
まぁ、その時はその時で、考えて考えて答えを出すとしよう。


そう思っていると、コンコンと、窓をたたく音が聞こえた。
窓をたたくなんてことをするのは、彼女の烏だけだろう。
緑色のカーテンを開けると、窓の前には、白い封筒があった。
夜空を見ると、烏がどこかに飛んで行くところが見えた。
僕は窓を開け、封筒をキーボードの上に置き、窓を閉める。
鍵も閉めて、カーテンも閉めてから、封筒の封を切る。
封筒の中には、青い花の便箋としおりタイプの梅の香りがする、桃色の文香。
封筒の隅には、小さな字で八咫烏より、と書いてあった。
あぁ、やはり彼女からか。

八咫烏は、僕と舌切雀と同じ、死神だ。
八咫烏は黒髪の腰まである長い髪に、黒い目。
そして、黒い着物に黒いローブをまとっている、舌切雀と同じ日本系の死神だ。
黒ずくめの日本系の死神で、烏を使って仕事をしている彼女は、八咫烏と呼ばれている。
彼女は携帯などは持っておらず、メールなどもできない。
なので、このように烏を使って手紙を届けさせている。


……あ、そうだ。
僕が答えられないような質問があったら、彼女に相談してみよう。
彼女は博識だから、相談に乗ってくれるだろう。
僕はそう思って、パソコンの電源を切り、便箋とペンを引出しから取り出した。
八咫烏に、手紙を書くために。