ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.53 )
- 日時: 2010/05/14 18:52
- 名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: QB.PitpG)
第9話『雀のお手紙配達』
よし、書き終わった……。
あとは……そうだな、文香を作って、封筒に入れよう。
白い封筒に八咫烏の名を書き、便箋を入れる。
あとは、文香を作るだけだ。
机の隅に置いてある、桜のお香を、はさみで削る。
削られたお香は、ティッシュの上にパラパラと落ちてゆく。
……よし、大体このようなものだろう。
お香を1本削ったら、はさみを置いて、削ったお香をティッシュで包む。
これを、折り紙で作った風車のぽち袋の中に入れる。
これで、文香は完成だ。
便箋の入った封筒の中に文香を入れて、封筒のふたを青い丸のシールで止める。
……後は、手紙を出すだけだ。
僕は封筒を持って、部屋を出た。
部屋を出ると、目の前には真っ黒なドア。
ドアノブを回して、押すと……。
鳥籠の中で鳴いている雀を、じっと見ている舌切雀。
舌切雀の部屋は、僕の部屋のすぐ前。
部屋が近いので、雀の鳴き声とかも聞こえてきたりする。
「舌切雀君、ちょっと頼みたいことがあるんですけど」
僕がそう言うと、舌切雀は雀から目を離し、首をこちらに向け、ポケットからメモとペンを出す。
メモに何か書いて伝えるのはいいのだが……、一言くらい喋ったらどうなのだろう?
そう思っていると、舌切雀は僕の目の前に、小さく折ったメモを出す。
僕は、そのメモを受け取って、読んでみる。
用件はなに? ……って、超短いじゃないか。
これくらいは口で言ってほしいものだ。
「貴方の雀、手紙は出せますか?」
僕がそう聞くと、舌切雀はコクリと頷いた。
雀が手紙を出すなんて、聞いたことがないが……まぁ、そんなことはどうでもいい。
「この手紙、八咫烏に届けてくれませんか?」
僕がそう言うと、舌切雀はコクリと頷いて、雀を籠から出した。
……今更だが、あの雀、手紙を出せるとは言っていたが、手紙を持って行けるほどの力はあるのだろうか?
僕はそう思いながら、部屋を出て、ドアを閉めた。
今は……手紙が無事に届くよう、祈っていよう。