ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.58 )
日時: 2010/05/15 18:08
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: 6afFI3FF)

第11話『自殺宣言のような』


……人間、結構悩みを持っている人は多いようです。
お悩み相談って、あまり人が来ないと思ってたんだけど……。
違った。僕の考えが間違いだった。
お悩み相談室には、相談に来た人が15個も来てた。たった、6時間で。
一体、僕が寝ていた間に何があったんだろう?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
この悩みに何とか答えるために、八咫烏が家に来てくれることになったんだけど……。
それまでに、答えられるような質問は答えておこう。


呼び鈴の音が聞こえる。多分、八咫烏が来たんだろう。
良かった。1つだけどうしても答えられない悩みがあったんだ!
僕は部屋から出て、急いで階段を下り、玄関へ行く。
玄関のドアを開けると、八咫烏がいた。

「八咫烏、久しぶりですね」

僕がそう言って笑うと、八咫烏もニッコリとほほ笑んで、右手を頬にあてる。

「そうですね。5カ月間、忙しくて、文通しかできませんでしたね……」

八咫烏がそう言って、クスリと笑った。

「そうでしたね。まぁ、こんなところで立ち話もなんですし、どうぞおあがりください」

僕がそう言うと、八咫烏は女性用の竹皮下駄を脱ぎ、下駄を揃える。
僕は、八咫烏を茶の間に案内して、台所へ歩いて行った。
戸棚から緑茶の茶葉が入った缶を取り出し、茶葉を急須にいれ、急須にお湯を入れる。
お茶菓子は……そうだな、ようかんにしようか。
冷蔵庫から、サツマイモで作ったようかんを取り出し、さらにのせ、ようかんを包丁で切る。
あとは、お茶を入れるだけだ。
戸棚から、梅の花が描いてある湯呑みを2つ取り出し、その湯呑みに温かい緑茶を注ぐ。
よし、こんなもんだろう。
ようかんののった皿と、湯呑みをお盆にのせて、茶の間に行った。

「お待たせしました」

僕はそう言って、茶の間の障子窓を開ける。
木でできたテーブルに、ようかんと湯呑みを置き、八咫烏の向かいの席に座る。

「では、質問の件なんですけど……」

「はい」

八咫烏は笑顔で返事をする。

「俺、死にたいんですが、どういう風に死ぬのがいいですかって質問が……」

その言葉に、いつも笑顔の八咫烏も、目を丸くして、口をぽかんとあけていた。
……さて、この質問は僕達で答えをだせるようなものだろうか?