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Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.75 )
日時: 2010/05/19 19:16
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: 9yCTBNZC)

第13話『死神でも腹は減る』


ここは、○×公園。緑が多くて、いろんな人が来ています。
僕はブランコに座って、死にたがりのキクさんを待っています。
……早く、来ませんかね。キクさん。

「あの、アリスさん、いませんか……?」

小さな声が聞こえる。多分、普通の人間には聞こえないだろうな。
僕はそう思いながら立ち上がり、声の聞こえるほうへ歩いていく。
すると僕の目の前には、白いワンピースを着た、青い髪の少女がいました。

「……あの、キクさんですか?」

僕は、青い髪の少女にそう聞いてみる。
青髪の少女は、コクリと頷いて見せる。
なんというか、気が弱そうですね……。自殺なんて、考えないように見えますが……。
こういう人ほど自殺を考えたりするものなのでしょうか?
僕はそう思いながら、にこりと笑って見せた。

「一応聞いておきますけど、キクさん、死ぬ前に何かやり残したことってあります?」

僕がそう聞いてみると、キクさんはふるふると首を横に振った。
その時、くうぅ、という音がした。
そういえば、僕、今日は朝食を食べないで家を飛び出したんだった。
……舌切雀、一応止めてくれたんだから、ちゃんと朝食を食べていけばよかったかな?

「あの、一回、ご飯食べに行きますか?」

「……ハイ。すみません」

キクさんが首をかしげてそう聞いてくる。
僕は、苦笑してそう答えた。
多分、今の僕の顔は少し赤くなっているんだろう。
……じゃあ、行くか。
小走りで駆けていくキクさんの背中を見ながら、僕は歩きだした。