ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 死のチャット 〜悪い子はいませんか?〜 ( No.85 )
- 日時: 2010/06/05 21:10
- 名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: DJvXcT4Z)
第15話『ターゲット変更』
僕の隣には、青いバラのヘアピンをつけているキクさん。
あった時とは違って、とても楽しそうだ。
ここは、桜の木の下。周りには誰もいない。
……なんだか、変な感じだ。
しかし、最初は死にたいとか、絶望的なことを言ってたのに……。
今はこんなに楽しそうだし、この人は悪い人って感じもしないし。
……食欲が失せる。殺したく、ない。
なんだろうな、この感情は。
人間なんて、死んでもいいって思ってたんだけどな……。
最近、神様がカルト宗教とかについて悩んでたし、人間は自分勝手だし。
こんな奴等、どうでもいいって思ってたんだけどなぁ。
「……あの、貴方、本当に死にたいと思ってます?」
僕の問いに、キクさんはうつむき、目に涙を浮かべる。
「死にたく……ない」
キクさんはそう言って、声を殺して泣いた。
……あぁ、やっぱり。
人間、死にたいと思うものはそうはいない。
死にたい死にたいと思っていても、いざ死ぬときは、生きたいと思うのが人間だ。
「……キクさん、死にたいと思うほど、つらいことがあったのですか?」
僕がそう聞くと、キクさんはコクリと頷く。
僕は、パーカーのポケットからハンカチを取り出し、ハンカチをキクさんに渡した。
「……よかったら、ですが。僕に、聞かせてくれませんか? どうして、死にたいなんて思ったのか」
僕がそう聞くと、キクさんはコクリと頷いた。
「……私、学校で虐められているんです」
……なるほど、虐めが原因か。
虐めの事について、相談できる人はいないのか?
「私には友達も、相談できると人もいなくて……。親は、私が虐められてることは知らないんです」
キクさんはそう言って、手で顔を覆う。
……なるほど、相談できる人もいないとなると、辛いだろう。
ターゲット変更、といきますか。
今度は、その虐めっ子達がターゲット、ということになりますね。
虐めっ子たちに、キクさんの苦しみ、解らせてあげますか。