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Tragedy to exhausted ( No.4 )
日時: 2010/05/05 13:12
名前: 瑠鳥 (ID: JgiXnGnD)

約三年前_____
轢逃げ技事件があった。
被害者は、何処にでも居るような家族。
平凡な家族は、仲が良く、幸せだった。
しかし、この事件で子供一人、母親を失い家族は一瞬にして不幸になった。
残された娘と、父親は未だ犯人を捜している。





『この二人は、事件の犯人を知っています。だって、目撃者ですから。しかし、二人は犯人の情報を家族には教えませんでした。』

俺は、気持ち悪くなって目を逸らした。

『では、仕事内容です。この二人を、一瞬で銃殺するのか、釘に刺さって長く苦しんでから殺すか。決めるのは、聡史君香ちゃんの二人です。』

鏡の向うの二人は、俺達に向かって叫んだ。

「い、一瞬で殺して!!」

香は、余りの事に泣き出した。
そうだ。こんな事、俺達が決めることではない。
しかし、此処はそんなに甘くは無かった。

『三分です。時間内に決められなかった場合、更に二人の釘を増やし、聡史君たちが居る部屋の鍵が閉められ、毒ガスが入ります。』

「そっ、そんな。」

悩んでいると、硝子の向うのテレビがついた。
其処には、中学生くらいの女の子と、父親らしき人物が写っていた。

『この二人が、被害者の親族です。』

『お願い!!この二人は、苦しませて。』

『私達の家族は、もっと苦しんで死んだんだ!!』

この映像は、更に俺達の決断を困らせた。
俺と、香は黙り込んだ。
目の前の二人は、犯人ではない。しかし、家族を苦しませている。

「さ、聡史君……どうする?」

「こんなの、俺達が決める事じゃない。」

「でも、黙ってたら二人とも死んじゃうよ!?」

『残り時間、一分切りました。』

俺達は、焦った。
一体如何すれば……






「二人とも、一瞬で殺せ……殺してやれ、よ。」





テレビの中の家族は、信じられないと言う風に俺達を見た。





パアァンッ_______





硝子の向うは、真っ赤に染まった。
さっきまで生きていた二人は、俺の決断によって死んだ。
俺は、その場に嘔吐した。





『ご苦労様〜♪じゃ、次の部屋へどうぞ。』

扉の鍵が開く音がした。

『あっ、そこの鍵持って行ってね。次の部屋で必要だから。』

香は、俺を心配して背中を撫でた。
暫くして、俺達は次の部屋へ向かった。