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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 物事の効率的な進め方 ( No.3 )
- 日時: 2010/05/13 21:37
- 名前: ここあぱうだー ◆varcH0kYbw (ID: nWEjYf1F)
<プロローグ「連絡網」>
五月十四日 早朝五時。
『もしもし這(はう)ちゃん? こんな朝早くに御免ね、連絡網が回って来ちゃってさ』
「別にいいよ、どうせ今起きたし……。でも、どうしたの? 緊急の用事?」
『あ、そうそう。えっと、今日の学校はお休みだって!』
「え、本当? やったー! え、でもどうして急に?」
『ほら、今話題になってるじゃん、包丁を持った男。あれの被害者が、ウチの学校の生徒に五人でたらしくて』
「五人って!? あ、だから家の外に出るなって事か……」
『せっかく休み貰っても、外に出ちゃいけないなんてねぇ』
「だよねぇ」
『……あ、ゴメン這ちゃん! お母さんが長電話止めろっていうから切るね! じゃあ、また月曜日ね!』
「バイバイ!」
這は、そこで受話器を置いた。
「這ー? どうしたの? こんな朝早くから電話だなんて。誰?」
這の母親、遺(ゆい)は、台所でリンゴの皮を剥きながら言った。
「呱々(ここ)だよ。学校の連絡網。今日の学校は休みだって。包丁男がウチの生徒を五人斬ったから」
「まぁ! 物騒ねぇ。学校に行く時は、防犯ブザー持って行かなくっちゃね」
「……防犯ブザーじゃあまり意味が無いと思うけどな」
冷たい突っ込みをする這。だが、天然な母は気づかない。
「うふふ、すっかり這も大人になっちゃって」
「……もういいや」
這は、諦めた様にソファに寝転がり、本を読み始めた。
結果的に言うと、この日、這が家の外に出る事は無かった。
が、しかし。這以外の生徒が、家の外に出ている事など、這は知るよしも無かった。
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