ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 魔眼探偵—紅夜— ( No.2 )
日時: 2010/05/19 17:16
名前: 月光 (ID: kEMak/IT)

第一章 —地下室ニ魔ノ叫ビハ止マン—

「っ…」
突然頭に激痛がはしり飛び起きる。
すると彼女がいたのは硬く、冷えたコンクリートの部屋だった。

彼女の名前は柳南胡桃(ヤナギナ クルミ)。

「どこよ…ここ」
薄暗い部屋を見渡すと周りには同年代らしき男女達が横たわっていた。
彼らも自分と同じなのだろうか…
どうにせよ胡桃が一番に起きたようだった。

そして思い返してみる…

胡桃は大学生だ。
授業の資料を頼まれ、地下室にある資料室に向かう途中だった。
気味が悪いとは感じていたが急いでいて後を振り向かなかった。
立ち止り鍵を開けようとした、そのときだ。
突然後ろから何かで殴られた。
そして気を失い…

「誘拐…?」
でも、そんな…なぜ?
大学の中だったしこんなにも誘拐してどうするつもりなのか。
全く意味がわからない…

冷静でいられたのは胡桃だけだったらしい。

次々と起き出した男女達は悲鳴をあげたり、怒っている。
それもそのはずだ。
こんなところに連れてこられたのだから…
もう一度あたりを見渡すとなんとなくわかる。
ここは地下だ。
でなければ、コンクリートむき出しのわけがない。

「いや…なに、よ」
一人の少女が声を出す。
振り向くと鎖を持ち今にも泣きそうにしているではないか…

それを見て初めて分かった。
私達は鎖で拘束されている…しかも一人ずつ。

すると突然…

どこから現れたのか目の前に黒装束が立ちはだかった。
私たちをここに連れてきた犯人だろう。
怪しすぎるではないか…

一人の男が声をあげる。
「おい!!どういうことだ、こんなことしていいと思ってんのか!?速くここから出せ!」
怒っている。

それに何も反応しない黒装束。

そこで胡桃は見た…
黒装束のかぶりの横から見える素顔を…

「(女…!?)」
そう、長い黒髪の女であった。
他は誰も気づいてはいないらしいが…

鎖のすれる音がして、振り向くと無理に鎖を引っ張りその黒装束の女に近づく男がいた。
そんなことをして何をされるかわからないというのに。

胸ぐらを掴むと
「なんとか言え!!」
怒鳴った。

それに黒装束は反応し動いたがやはり何も言わない…そして一瞬の出来事だった。
黒装束の女が手をあげると…
胸ぐらを掴んでいた男が倒れたのだ。

その死体は焼けこげ、それが人間だったのかもわからないほどに酷かった。

「キャーーーーーーー!!!!!」
頭を抱えて、死体を見ないようにと伏せ悲鳴を上げる。

「う、、、嘘だろ、なんだよ、これ…おい」
怖気づくものたちはペタリを膝を床に突くともう何も言えなくなってしまっていた。

気付いた時にはあの黒装束の女も姿をけしていた…

鍵が閉まる音がして、私達は…この地下に閉じ込められた。