ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 機械の精霊 ( No.2 )
日時: 2010/05/16 12:11
名前: AQUA ◆indIe8JtN6 (ID: OS.29i1w)

一話「ケータイの精霊」

目が覚めた、窓の外はまだ薄暗い。
高校2年の天野悠也は近頃夜中に目が覚める事がある。
「またかよ…」
何も考えず、また眠りに着こうとする。
携帯の着信音、枕元の携帯を開くと“新着メール1件”と表示されている。
「こんな時間に誰だよ…」
開くと、見覚えの無いメールアドレスから、訳のわからない無数の数字が並べられた、迷惑メールだった。
「こんな時間にご苦労な事だな」
携帯を閉じベットから床に落とした。
が、床に携帯が落ちた音がしなかった。
「あれ、下に何か置いといたかな?」
携帯を落とした場所を起き上がって見てみる。
すると、巫女の姿をした少女
がフローリングの冷たい床で寝ていた。
「ああ、夢か。」
目を擦る。
そしてまた床を見る。
「あれ」
床には巫女姿の少女が寝ている。
「死んでんのか?」
人差し指で少女の肩をつついてみる。
「んん…△○※#?」
少女は訳のわからない寝言を喋った後寝返りをうつ。
「不法進入ってやつかな…」
悠也は窓の外を見る、マンションの6階のこの部屋は明らかに窓からの進入は無理だった。
「つか、誰だよこいつ」
少女の寝ている居づらい部屋からリビングへ出て、

Re: 機械の精霊 ( No.3 )
日時: 2010/05/16 12:39
名前: AQUA ◆indIe8JtN6 (ID: OS.29i1w)

電気をつける。
一人暮らしのために、御世辞にも綺麗とは言えない部屋だ。
親からの仕送りはあるからとは言え学生だ、広い部屋に対して家具が少ない。
テレビもサイズは小さい、パソコンも型が古い。

どうすれば良いんだろうか?

今はそれが頭を埋め尽くしていた。
テレビをつけてみるものの今は午前3時、特に何もやって居なかった。
悠也は仕方がないのでテレビゲームで、時間を潰してみることにした。

4時間経過、すっかり日が上り、蝉がうるさい位の鳴き声で自分をアピールしている。
今日は夏休みの真っ最中で、学校は無い。
「もう起きたかな?」
ゲームを中断し、恐る恐る部屋を覗いてみる。
まだ少女は爆睡している。
「まだ寝てる…」
「おい、起きろよ」
肩を揺するが、なかなか起きない。
悠也の脳が悪知恵を思いつく。
「お〜い、起きねぇと襲うぞ〜」
明らかに某読みで、とんでもない事を言ってみた。
起きたか?
と考えた瞬間横から顔にかなり力強い蹴りがクリーンヒットした。
「痛っ!」
少女はまだ寝ている。
「冗談言うと危ないな…」
携帯の着メロが部屋の何処からか流れはじめた。
「あれ、携帯何処だっけ?」
リビングに言ってみるが音は寝室

Re: 機械の精霊 ( No.4 )
日時: 2010/05/16 13:02
名前: AQUA ◆indIe8JtN6 (ID: OS.29i1w)

からだった。
「何処にやったっけな?」
「ふあぁぁ〜〜」
少女の目が覚めた。
「あ、起きた」
少女が起き上がると、携帯の着信音が大きくなった。
「あ、そこに落としたんだった」
携帯を少女の寝ていた場所から取る。
通話ボタンを押して、携帯を耳に当てると。
『もしもし?悠也?』
「なんだ、英多、お前かよ」
『なんだって何だよ?悪いか?』
「んで何の用?」
『今日ちょっとゲーセンに一緒に行かない?』
「今日は…ちょっと…な…」
こちらをじっと見ている少女をちらちら見ながら答えた。
『そっか、残念、じゃな』
通話が終わった。
「遊びに行かないの?」
突然まともに少女が喋る。
「遊びに行かないの?ってお前はそもそも誰だよ」
「私は貴方の携帯」
「はぁ?」
間抜けた答えをする。
「これ?」
先ほどの携帯を巫女の少女に見せる。
「はい」
「いやいやいや、何で俺の携帯が女になってしかも巫女姿なんだよ。なんか突っ込みいれるとこ違うけどさ…」
「貴方が女性なら、私は男になってましたよ?」
「じゃあ何で巫女の姿?」
「何となくです」
「へ?」
「特に意味は無いです」
少女はそう言うと微笑んで見せた。

1話END