ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 百物語図書館 〜 あなたのご所望は? ( No.10 )
日時: 2010/05/19 10:57
名前: バララ ◆1V5QpFfjiU (ID: xgraZn.Q)

第4話『書き込み』



[リツ:でさ、それでね]

[shoot:うわ、マジかよw]

[はるるん:めちゃワロタww]

[kain:あれ、はるるん、そろそろ時間じゃないの?]

[リツ:あ、そういえば]

[shoot:わり、引き止めちまってw]

[はるるん:ううん、楽しかったしね]

[リツ:んじゃ、またねw]

[kain:おつw]

[shoot:バイ(^ェ^)ノシ]

[はるるん:またねw]

私はそう発言すると、退室ボタンを押してチャットから出た。

「やっぱ、このメンバーでチャットすると面白いなぁ」

私、八坂あやめ。

近くの高校に通う普通の女子高生。

最近ネットにはまってちょっと大変だけどね。

特に寝る時間が遅くなっちゃうのが、お肌に悪いんだけどなぁ。(笑

今日もチャ友のkainが言わなかったらずっと話してただろうなぁ。

「さて、今日はもう寝よう。みんなにあぁ言ったしね」

そう呟きながら、私はPCの電源を切ろうとする。

「・・・・・・」

PCの電源を切ろうと、

「・・・・・・・・・・」

切ろうと———

「・・・・・・ちょっと掲示板を覗くだけ」

————思ったけど、もうちょっとだけやろう。

私は「もうちょっとだけ」と自分に言い聞かせながら、掲示板を見てまわった。









「・・・・んみゅぅ・・・・って、はっ!?」

やば、私、いつの間にか寝ちゃってた!

「あ〜、またやっちゃったよ」

そう思いながらPCで時間を確認する。

[5:34]

「うわ、中途半端」

学校までそんなに距離があるわけじゃないから、ちゃんと寝なおす事も出来るけどなぁ。

「寝たら起きられないだろうしなぁ」

そうして、いろいろ逡巡した結果、

「・・・シャワーでも浴びよう」

結局、寝たら危ない。けど眠い。

だったら眠気を覚ませばいい。

ならシャワーでも浴びよう。

と言う風になった。

私は10分くらいシャワー浴びてから、すぐ部屋に戻る。

「ふぅ、気持ちよかっ・・た?」

ふと、私はある書き込みに眼を留める。


———————————————————————

このレス見た人はラッキーだね!

これは幸運を呼ぶレスだよ♪

これを見た日はきっと一日中がラッキー尽くし!

さぁ、今日という日を楽しんできてね。



———————————————————————


「うわ、よく他の板やスレに書き込めば叶うとかってのは聞くけど、何で見ただけで?」

そう思いつつ、私はネットを閉じ、PCの電源を切る。

「ん〜、さてと、朝食でも作ろっかな」

そう言って、私は部屋を出て台所に向かう。

うちは両親共働きで、帰りはちょっと遅い。

だけど、朝は私と同じ時間ぐらいに出る。

私はその二人の朝食も作らないといけない。

「ふわぁ・・・あ、あやめ、おはよう」

「あれ、お父さん。今日は早いね、どうしたの?」

「あぁ、ちょっとな、目が覚めただけだよ」

「そう。お母さんは?」

「あぁ、俺と同じくらいに起きたけど、まだ眠いからって」

「あはは、相変わらずだね(汗」

お父さんとお母さんはちょっと相性がおかしいところがある。

朝、起こしに行くと、お父さんはすぐ起きるけど、お母さんは「あと5分」とか言ってくる。

子供じゃないんだからって言いたくなるよ。(苦笑

でも、仕事のパートナーとしての相性はとってもいいって聞いたことがある。

「それじゃあお父さんはお母さん起こしてきて。私は朝ごはん作ってるから」

「おう、分かった」

お父さんはそう言って部屋に戻っていく。

「(でも、きっと苦戦するだろうなぁ)」

そう思いながら、私は朝ごはんを作ろうと台所へ行く。












「〜〜っ(怒」

今日は何て最悪な日なの!!

朝から財布は落とすし、ケータイ無くすし、危うく水路に落ちそうにもなったわよ!!

「もう、何なのよ!!」

ドン、と私が机を叩く。するとブンと音がしたと思ったらPCの電源が入っていた。

「あれ、私電源切ったはずなのに」

そう思いならがも、PCの画面を見てみる。

すると、朝見た掲示板のあのスレが表示されていた。

———いや、朝のものとは少し違った。

———————————————————————

このレス見た人はラッキーだね!

これは幸運を呼ぶレスだよ♪

これを見た日はきっと一日中がラッキー尽くし!

さぁ、今日という日を楽しんできてね。



———————————————————————

「う、何よ」

私は続きが気になり、朝から更新してなかった掲示板を更新する。


[うそ]


「・・・・・・」

ちょっとイラッときた。

そして、何気に信じてた自分にも嫌気が差しそうだった。

「あ〜、もう! やってられない!」

怒鳴りながら、部屋を出ようとしたときだった。

[うそ、]

「あれ? さっきは『うそ』だけだったよね?」

不思議に思いその書き込みを見ていると、

[うそ、今]

「えっ!? 何で?」

突然、書き込みされている文字が増えた。

私が更新ボタンを押したわけじゃない。

じゃあなんで・・・

すると、また文字が増えた。

[うそ、今日]

「今日? 今日は最悪よ!」

そういいながら私はネットを閉じようとする。が、

「ちょ、何で動かないのよ!?」

マウスを動かしても、PC上のポインタが全く反応しなかった。

私が戸惑っていると、いつの間にか文字が増えていた。

[うそ、今日はあ]

「もう、何なのよ!!」

私は訳が分からなくなった。

すると、ふとPCにつないでいるコードが視界に入る。

「そうだ!」

私はすぐにPCのコンセントを抜いた。

これで、画面も消えて———

[うそ、今日はあなた]

「な、なんで・・・」

————いなかった。

コンセントを抜いたのに、何故電源が入っているのか分からない。

私は怖くなり、部屋から飛び出そうとするも、扉が開かない。

「ちょ、何で!? 開けてよ!!」

そう叫んでいるうちに、さらに文字がその書き込みに刻まれていく。

[うそ、今日はあなたの命]

『命』

この字を見て、私の恐怖心は増していった。

部屋のドアをドンドン叩いてみるが、この時間帯に両親が居るわけが無い。

完全にパニックに陥った私に、止めだと言わんばかりに書き込みは字を刻む。

[うそ、今日はあなたの命日よ♪]

そこで、私は気を失った。

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