ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 百物語図書館 〜 あなたのご所望は? ( No.5 )
日時: 2010/05/18 15:19
名前: バララ ◆1V5QpFfjiU (ID: xgraZn.Q)

その後、大体2時間ぐらいで、俺は残りの作業を終わらせた。

「ふぅ、やっと終わったか」

俺はさすがに疲れたので、帰ろうとも思った。

だが、この時間に終電は無いので、仕方なく仮眠室で寝ることにした。

「ふぁ〜〜、ねみぃなぁ。さっさと寝ちまうか」

松山の奴、絶対終電で帰りやがったな。

明日会社に来たら取っちめてやる!

そんなことを思いながら、寝ようと思った。

そんな時だった、隣の部屋からガタガタと音がした。

「ん、何だよ、まったく」

俺は眠い目を擦りながらも起き上がり、隣の部屋をドアを少し開けて覗いてみる。

すると、冷蔵庫のドアが少し開いているのか、中の光がうっすらと漏れていた。

めんどくさいと思いながらも、電気代がもったいない・・・と言うか、朝見つかったら何言われるかわかんねぇからなぁ。

仕方ないので、冷蔵庫を閉めようと思い、近付いていく。

だが、途中で俺は歩みを止める。

あることに気付いたからだ。

「(・・・おかしい)」

そのある事とは———

「お、俺、コンセント繋い——」

繋いでない、そう言おうとした時だった。

俺の足元が濡れているのに気付いた。

そっと、俺は下を見る。

「———っ!?」

そこには、真紅色の液体がぶちまけられていた。

俺は何かに恐れながらも、ゆっくりとその液体が流れ出している方に目をやろうとする。

そして気付いた、その液体は、冷蔵庫の上段k————

瞬間、ズブシャァッ!! と音がした。

・・・いや、正確には音がした『気がした』だ。

なぜなら・・・

・・・・・その時すでに、俺の意識は無かったのだから・・・・・・











=某大型電化製品店=

「あ、店長、また休んでましたけど、どうかしたんですか?」

「いや、最近また疲れがたまってきてたからね。ちょっとした休養に行ってただけだよ」

「いいですね〜、俺も行きたいっすよ。」

「そのうち行ってみたら、森林浴するだけでも気分変わるよ?」

「そうっすね。あ、あと、あの冷蔵庫なんすけど、また戻ってきましたよ」

「またか、前のは修理業者じゃなかったのか?」

「それが『同じ場所の回路が何度も切れてしまう』らしいですよ?」

「ん〜、なら仕方ない。処分するか」

店長たちが話をしていると、一人の男性客が近付いてくる。

「あの、その冷蔵庫、俺に買わせてくれ!」

「あ、すいませんお客様。その商品は故障しておりまして」

「大丈夫だって、俺機械の回路なんかは得意っすから!」

「ですが———」

店員はさすがにこれ以上、故障品を売るわけには行かないと思い、断ろうとするが、

「よろしいでしょう、ただいまお持ちいたします」

と、店長が了承してしまう。

「マジっすか!? いよっしゃあ!」

「ちょ、店長!?」

「いいから、持ってきてください」

「はぁ、わかりましたよ」

そういって、店員はとぼとぼと歩いていった。

「それで店長さん。故障品を買うわけだからさぁ、ちょっとは安く出来るんでしょ?」

「えぇもちろん。そちらの責任で買い取るわけですからね。ただ約束して欲しいことが2つほどあります」

「ん、なんすか?」

と、店長が男性客以外の客に聞こえないような声で言い始める。

「1つは、故障品と分かっていて買うのですから返品されても代金はお返しできません」

「あぁ、そんなことなら大丈夫っすよ。もう1つは?」

「もう1つは、もし商品を返品にくる時は、誰かに頼んでくださいね」

「ん、なんでかわかんねぇけど分かった」

「そうですか、それではお会計口でお待ちください」

すると店長は、用事があるといってその場を去っていく。

途中、店長は誰にも聞こえないような声でボソッと呟く。

「フフフ、次の人は・・・・・・・











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










          ・・・・どんな味がするんでしょうかねぇ」