ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 百物語図書館 〜 あなたのご所望は? ( No.8 )
- 日時: 2010/05/18 16:42
- 名前: バララ ◆1V5QpFfjiU (ID: xgraZn.Q)
それからしばらくして、ようやく事務所に戻ってきた俺たち。
俺が車から降りようとすると、先輩が勢い良く助手席のドアを開け放ち、ダッシュでどこかへと向かっていく。
どうしたのかと思ったが、先輩はすぐに戻ってきた—————
———————大量の塩を持ってきて。
「ちょ、先輩どうしたんすか!?」
俺が先輩の異様な行動の意味が分からず尋ねるが、先輩はそれを無視して後部座席に持ってきた塩を勢い良く撒く。
「ちょ、やめてください!!」
俺は先輩を止めようとがっちりと捕まえる。
「離せ! もっと撒かないとやばいんだよ!!」
「何がやばいんですか! 先輩のほうが危ない人みたいっすよ!!」
「何言ってんだよ! もっとやばいのはあの後部座席だろ!!」
そう言って、先輩は俺に抑えられながらも後部座席を指差す。
「一体何があるって言うんですか」
すると、先輩が小刻みに震えはじめた。
よく見ると、顔もいつの間にか青褪めており、おかしなものでも見たような顔だった。
「・・・お、お前は俺が止めたから見てないだろうがな」
と、先輩がゆっくりとしゃべり始めた。
と同時に、俺は今の言葉で引っかかる言葉があった・
『俺が止めたから』
確かに俺は先輩に止められて、先輩の方を見るのをやめた。
だけどそれがどうしたのだ。特に何も無いではないか。
そう思った。しかし、実際はそうじゃなかった。
「あ、あの、トンネルを過ぎた辺りから、う、後ろに、いいいたんだよ」
俺はあんまり考えたくなかった。
だって、俺は怖いのが苦手だから。
「血だらけの女の人が!」
それを聞いた瞬間、俺は気を失った。
俺は過労ということでここ数日間、会社を休んでしまった。
まさか、怖い体験したから倒れたなんて言えないしな。
でも、もうどうでもいいか。
なんだか、あの日のことが夢のようだ。
・・・さて、明日から仕事だ。頑張っていくか!
あ、今の女子高生可愛いな。
「うっ!」
「どうしたの、可奈? 大丈夫?」
「う、うん。ちょっと気持ち悪いの見ちゃっただけ」
「あ、そういえば可奈、霊感あるんだっけ?」
「うん」
「で、何見たの?」
「今すれ違った男の人いるじゃん」
「あぁ、あの人? ちょっとイケメンっぽい?」
「そう、その人」
「その人がどうかした?」
「その人にね・・・・・
・・・・・・血だらけの女の人がおぶさってたの」