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- Re: 破滅ノ歌ト救済ノ歌(歌姫や騎士(オリキャラ)募集中です!) ( No.14 )
- 日時: 2010/05/21 19:01
- 名前: 濃姫 ◆xXhtqTpjI6 (ID: F35/ckfZ)
第弐話「無口な女」
「おい、警察もなかなかだぞ。俺みたいな殺人鬼の見方をして死ぬ……。人生で最大の恥だろう」
「……」
何も答えずに、表情一つ変えない。何を考えているのか全く読めなかった。
「……」
掌から火の玉のような不気味な光を出して警官を次々と殺していく。
「貴様、ついてくるか……?」
強さも気に入ったし、どんな奴かも気になる。
「……」
無言でうなずく。それ以外の答えは、いつも帰ってこなかった。
「さあ、これからどうする?」
「……」
気づけばそこは、市民や警官の死体が山積みになっていた。
「……」
「……とりあえず、ここから出るか」
「……」
無言でうなずく。
「……喋れないのか?」
「……」
無言で首を横に振る。
「喋らないのか?」
「……」
無言で首を縦に振る。
「何故だ?」
「……」
首をかしげる。
「……」
変わったやつだな……。
大した会話もなく、道を歩いて行く。道行く人々はキラーがいると知って、すぐさま建物の影や家に帰って行った。
「飯でも食うか?」
「……」
無言でうなずく。
「ちょっと待ってろ」
「……」
この女は、少しずつ変化を見せて行くことになるだろう。キラーの目の前に急に現れ、少なくともキラーに恐怖を植え付けた。
しかし、その本人を恐れずに、食事を調達するという彼の行動に、この女は何かを感じている。
「ほら」
フランスパンを投げ渡す。
「……」
パシッと音を立てて、そのパンを受け取る。
『お金を持っていたの?』と言うような目で見ているので、彼は答えた。
「盗んだ」
あっさり言ってしまうのも凄い。まぁ、連続殺人鬼ですから……。
「……」
『ああ』と納得したように頷き、そのパンを口に入れる。
「お前、名前は?」
「……」
パンにかぶりついたまま首を横に振る。
「名前がないと不便だな。……レディ。レディでいいか?」
単純に女だからレディ。
「……」
さっきまでかぶりついていたパンをそのままに、キラーの方を見て頷いた。