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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 紅の花が舞う ( No.2 )
- 日時: 2010/05/22 16:24
- 名前: ユエ (ID: NCw5IWsi)
第一章 百花繚乱!
「───う、うわああああああああああッ!」
沈んでいく太陽が、一人の少年を照らした。
もう既に夕方だ。 良い子は家に帰りましょう、という時間。
狭く、細い道を少年は全力で走る。
何度も何度も、後ろを振り返りながら……。
学生服に、少しだけ乱れた黒髪。 童顔。
女装が似合いそうな、見た目は可愛い高校生。
だが、左手には日本刀をしっかりと握っていた。
───ガシャアアン!
後ろから聴こえる、色々な破壊音。
少年の走る速度は上がる。 もう、振り返らない。
「まったく、総悟ったら何やってんのよ!」
突然、真上から一人の少女が降ってきた。
音もなく着地し、少年の隣を走る。
二つに縛ったこげ茶の髪が風になびいている。
「真桜! 五月蝿いなっ、お前がやってみろよ!
江戸だか平安から続く陰陽師の娘なんだろッ」
「平安時代よ、この馬鹿!」
───バキャッ! ガシャアンッ!
少年と少女の前に、突然大きな物が落下してきた。
残念、行き止まりだ。 逃げることはできない。
そして、二人は振り返る。
二人の後ろには、巨大化した怨霊がいた。
闇を纏い、憎悪の塊となった怨霊。
「仕方ないよな……」
仕方ないな、という表情で少年は呟く。
二人は一歩前に出る。
「怨霊狩り、二宮総悟、参る!」
少年───二宮総悟は刀を怨霊に向けた。
「陰陽師、木下真桜!」
少女───木下真桜はお札を出した。
そんな様子を、ビルの屋上から見ている少女がいた。
真桜と同じくブレザーを着ている。
そして、総悟と同じく日本刀。
「ピンチになったら、わたしの出番だよねっ」
肩までの明るい茶髪が、大きな瞳が印象的だった。
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