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Re: repetition†world -fall ( No.15 )
日時: 2010/06/17 21:11
名前: くれは ◆2nq4FqQmFc (ID: Rk/dP/2H)



「ひ、ひかげ!?」
途端に灯の声が屋上に響く。
辿り着いた先には、何と灯とレインが既に居た。
灯は何かを知っているとは到底思えないから、やはりレインの方に何か関係があるのだろうか?

「…レイン。その蛇何?」
リエルが少し訝しげな表情を浮かべて、レインの方に目をやる。
レインの持つペンダントは青く光っており、そして蛇がそこから沸いて出たような感じで現れている。何なんだ、これは…。

分からない事だらけで余計に頭が混乱してくる。
「ハハー、ブルーアンバーで召喚した結果、こうなってしまったデス。」

普段通り笑うレイン。リエルはため息をついている。
そして、ノエルが口を開いた。

「今からこの空間を表世界から切り離す。…伏せて。」
そう言われた途端、レインとリエルは屋上の床にうつ伏せになる。
この状況でどう言う行動をとれば良いのか分からなくて、俺達もその言葉に従った。立っているのはノエルだけだ。

「………。」

長い沈黙が続く。
ノエルの方を見てみると、いつの間に取り出したのか、小さな水晶玉が埋め込まれた短い杖を持っていた。

「切り離せ。この空間を、この世の全てから。」

そう呟いた瞬間───…。




何かが起こるのかと思っていたら、目に見える内は何も変わっていない。

「ちょっ!何がしたいんだお前!?」
思わず立ち上がる。
それにつられて、何とも無かった様子に安心したのか…灯と七星も立ち上がった。そして、リエルとレインもそっと立ち上がる。

「ノエル…だっけ?いきなりどうしたんだ、切り離すとか、何とか……。」

「まださっきの言葉を疑わしいと思うのなら、そこから飛び降りてみて。全て分かるよ。」
ノエルが指差した先は、酷く錆びたフェンス。
これは死ねと言っているのだろうか?と気になってみたりする。

「いやいやいや、何をいきなり───」

「…僕がやるよ。」

すたすたと軽い足取りでノエルはフェンスに向かっていく。
そしてノエルは、フェンスの一部──そう、捻じ曲がって人一人通れそうな程歪な円を作っている網の間から──ってあんなモノあったのか!?


「おい待て早まるな!そりゃ誰にでも失敗は──」

七星が止めにいこうとした瞬間、
ノエルは平然な顔で小さく呟いて───

「うるさいな。黙って見てろ。」


屋上から、飛び降りた。