ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: repetition†world -fall ( No.2 )
日時: 2010/06/17 21:05
名前: くれは ◆2nq4FqQmFc (ID: Rk/dP/2H)



「よっす。こんなとこで弁当食ってたのか」
現れたのははねた黒髪が特徴的な、九 七星(いちじく ななひ)だった。
中学一年生の時に知り合って、今年もクラスが同じだったいつもへらへらしてる奴。そいつはいつもと同じ様に笑顔で俺の隣に座ってくる。

クラスメイトだと言う事に変わりは無いが、まぁ敵に属する奴で無くて良かったー…と思ったのもつかの間。

「この玉子焼きもーらいっ!」

七星は突然俺の弁当に入っている玉子焼きを手で掴むと、ひょいと自分の口の中に放り込んだ。
「ちょ、いきなり何すんだ」

いきなりの事態を飲み込めず、思わず呟いた。
「えー、一つくらい良いじゃん!」

一つと言ったにも関わらず、七星は俺の弁当を次々とたいらげていく。気がつけば、箱の中は殆ど空になっていた。

「一つ所じゃないだろ…全く、お前も弁当を忘れたのか」
呆れ、ため息をつく。
何で持って来ないんだろう。物凄く気になる。

ただ単に忘れた、なんて理由だったらしばく。

「忘れた」

しばくぞ。
食事もままならなかったので、腹が音を立てる。
七星の方はすっかり満足している様で、屋上の床に仰向けになっては晴れ渡る青空を見上げている。全く呑気な。
俺も弁当をくるむと、座ったまま空を見た。雲一つ無くて、見事な快晴状態。それを確認すると、何だか弁当を取られてしまった事さえすぐに忘れてしまえた。まぁいつかは貸しを返してもらうとして。

こいつが此処に来たのは、俺の弁当を奪い取る為か教室での争いから逃れる為だろう。少なくともこのどっちかだとは思う。
だけどもし前者なら、どうして俺が此処に居ると言う事を知っているんだ?

「なぁ、七星──」
そう呼びかけた途端、再び屋上の扉が開いた。立ち入り禁止と言う訳では無いので、先生が入ってきても大丈夫だろう…多分。

「あ、此処に居たの?」

「ほら!レインの言った事は間違ってなかったですヨ!」
女生徒と思われる声が二人分、確認出来た。
片方は低くも高くも無い聞き慣れた声で、もう片方は片言の日本語を喋る声。

「…灯とレインまで来たのか」