ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: repetition†world -fall ( No.26 )
- 日時: 2010/06/17 21:15
- 名前: くれは ◆2nq4FqQmFc (ID: Rk/dP/2H)
>>25 煌謎さん
ありがとうございます><///
絵も文ももっと修行しなければいけませんが、そう言う事を言って下さるととても嬉しいですw
「それじゃ、そろそろ元の世界に戻らないとヤバそうね。」
先程までゴブリンとやらと戦っていた二人が、ツチノコに武器を近づける。それをあっさりと丸呑みしたツチノコは、何だか少し気味が悪かった。
七星と灯の方を見てみると、困惑の表情はもう既に無くなっていた。俺もうじうじしてはいられない。
これから立ちはだかる壁は、決して薄いものでは無いだろう。だが、いつまでも立ちすくんでいても、何も変わらない。
そんな俺達を見て、レインは少し申し訳なさそうな表情をした。レインが悪いと言う訳でも無いので、むしろこちらが罪悪感を覚えてしまう。
武器の収納が完了(?)したのか、ツチノコはレインのペンダントに身を収めると、青い光と共に消えていった。
それを見届けると、ノエルは再び短い杖を取り出した。
どうやらあれで、俺達の世界と切断空間を行き来するらしい。
「一つになれ。この空間を、この世の全てと。」
*
空は何一つ変わっていなかった。
さっき見上げた通り、明るい。
気がつくと、俺は屋上の床に寝転がっていた。仰向けで。
さっきのは夢だったのだろうか?
それなら一番良い。これまで通りの何気ない生活を送る事が出来るのだから。
起き上がろうと体に力を入れた、その瞬間──
「じゃあ、皇ひかげ──…長いからひかげって呼ぶ事にしよう。これからよろしくね?」
聞き覚えのある、声がした。
その声の持ち主を、記憶から掘り起こす。やはり一人しか居ないじゃないか。
「…夢じゃなかったのか、リエル。」
「夢?あぁ、眠ってたからそう思ったのね。切断空間へ行くのは簡単なんだけど、切断空間から戻ってくるのは少々手間がかかるのよ。大きな衝撃も加わってくるし。人間だとそれに対しての耐性が少ないから、大抵の人は眠りに堕ちてしまうの。慣れると平気よ。」
ちなみに、ノエルはもう既に居なかった。─と思いきや、屋上のフェンスから身を乗り出して、屋上を眺めている。今度落ちたら確実に死ぬだろうな…。
「灯や七星、それにレインも…皆目を覚ます、よな?」
少々不安になり、リエルに聞いてみる。
「あったり前よ!ただ眠ってるだけだし!レインも経験が浅いだけだから、心配は無用よ!」
まるで知り尽くしているかのように、えっへんとした表情で彼女は言った。
…そう言えば。
もう一つ、聞きたい事が。
「何で俺達の名前を知ってたんだ?集会の最中に…。」
「いつもレインからひかげ達の事、聞いてたもん。学校はいつも楽しいとか、今日は面白い事があった、とかね。」
やはり、レインは以前からこいつらと絡みがあったのか。そりゃそうだろうな。絶対に初対面ではない態度だったし。
「んじゃ、私達そろそろ戻らなきゃ!クラスはまだ分かんない。でももし同じだったら、よろしくね!」
そう言って、リエルはノエルを連れて屋上を出て行った。ノエルは扉を閉める直前に、小さく手を振る。
…─それにしても、大変な事になったな。
腕時計を確認。集会の始まった時刻からあまり時間は経っていない。切断空間に居る時は、時間が止まっているのだろうか。
もうあまりにも有り得ない。
いや、有り得ない、なんて事は有り得ないんだったか。いやそれは有り得な…もう意味が分からん。
俺は澄み渡る青空を仰いで、一言叫んでやった。
「これからどうなるんだよぉぉおおおおっ!!」
叫んだ言葉は木霊して、遥か遠くまで響き渡った。