ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: repetition†world -fall ( No.36 )
- 日時: 2010/06/17 21:40
- 名前: くれは ◆2nq4FqQmFc (ID: Rk/dP/2H)
「いつまでバカやってるの……全く」
呆れ顔のリエルが、二年A組の教室の入口に立っていた。その後ろに立つノエルは、何やら二人分の荷物を持たされている。ひょっとしてあれはリエルと自分の鞄だったりするのだろうか。
「……あのさ、重いんだけど。リエル」
「それぐらい持ちなさいよ!男でしょ!」
見るからにあの荷物はでかい。
そりゃ疲れるだろう、と思っていると、リエルは頬を膨らませて自分の荷物を担いだ。その拍子に体をよろけさせる。
転校初日だし、持ってくる物が多かったのだろうな。
二人共、あんなに重そうな武器を抱えてゴブリンとやらをなぎ倒していたのに……。
「あ、そうそう。リエルにノエル、明日学年遠足なんだけどさ、一緒に行動しない?」
灯が早速、明日の遠足の話を持ちかける。
「学年遠足?あぁ、綾凪公園に行くって言ってたわね。良いわよ」
そしてあっさりと承諾してもらった。
行き先は綾凪公園なのか……先生の話をよく聞いていなかった為、聞き逃していたのかもしれないな。
「ノエルはどう?」
「大丈夫。だけど、クラスの人とも約束してるから、一緒に行動出来るのは自由時間ぐらいになると思う。リエルも約束してたはず」
「そうだった!うっかり忘れる所だったわよ…あはは」
クラスにはもう馴染んでいるらしい。
約束を忘れる所もあるなんて、何か意外だな。
すると、レインが双子に駆け寄り、そっと何かを耳打ちをした。
その様子に、俺を含む他の奴も首を傾げる。
「……そうだった。ねぇ、今日はお昼で終わりなんでしょ?可能性とシンクロしている訳だし、所在地が何処に居るのかも分かったから、裏世界や魔物を研究している機関に顔を見せに行かなくちゃならないんだけど……」
「可能性?」
七星が問う。そう言えば、さっきレインも言っていたような。
「表世界を救う事の出来る可能性よ」
しばしの沈黙。
表世界?と言う事は……俺達の居る世界?
此処を、俺達が守る?
ノエルがリエルの言葉に説明を加える。
「可能性とシンクロしているって言うのは、表世界を救う、あるいは魔物を裏世界に戻すか退治する事が出来る可能性が50%以上シンクロしている人の事を言う。49%以下の者を分かりやすく言うなら……裏世界なんかの事を何も知らない、僕達が現れるまでの君達って感じ。このクラスのクラスメイトみたいにね。」
要するに、シンクロしていない者は切断空間に入る事も出来なければ、武器を持たされる事も無いのか…。
そう考えると、シンクロしている(?)俺達って、十分不幸なんじゃ。
「とにかくっ、機関へ会いに行くデス!早くしないとティーチャーが学校を閉めてしまうデスヨ!」
レインの言う通り、もうじき此処へ先生が鍵をかけに来るだろう。早くしないとマズイ。
「…切断空間へ移動する。しゃがんで」
言われた様に、俺達はしゃがむ。
だが、レインとノエルだけは立っていた。
レインも何かするのか?
「切り離せ。この空間を、この世の全てから」
短い杖でノエルがそう呟いた後、レインが先程のペンダントを取り出して、口を開く。
「道を開け。切断空間の果てまで」
俺達の視界に、信じられないものが映った。
白と銀色が入り混じったような空間に、幾本もの道が広がっているのを──……。