ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Prologue 1 ——を統べる者 ( No.1 )
日時: 2010/05/22 18:53
名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)

走る、走る、走る。

「こら、待てッ!」
「逃がすかッ」

ああもう、しつこい!

一月程前から、ずっとこの調子だ。

世界平和のためとかなんとか言ってるけど、どうせ僕の“チカラ”が目的だろ?

「おい、こっちだ!」

追っ手が増える。

だが、こんな奴らに捕まる僕ではない。

「・・・——」

普通の“ヒト”には、聞き取れない言葉。こいつらみたいに魂が穢れてるなら、意味を理解するなんて到底出来ない。
そもそも、“何か音が聞こえた”としか理解出来ないだろ?

「ッ!!」

追手が、急に立ち止まる。
いや、動かなくなったと言った方が適切かな?

「な、なんだっ?」

何人かは、体を動かそうとしているが・・・

「無駄だよ。僕の“言葉”からは逃れられない。
 ・・・いや、逃れようとすることすら出来ない、が正しいかな?
 これを否定するということは、自分自身を否定すると同義だから」

追手達は、顔を歪める。

末端には、僕の“チカラ”の詳細は伝わっていないのか。

・・・“真言”で言う必要なかったかも。

「・・・しばらく、“眠ってろ”」

僕がそう言うと、追手達は地面に崩れ落ちた。

「・・・はあ」

これまた・・・めんどくさいことになったな。