ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Chapter 3 崩壊2 ( No.31 )
- 日時: 2010/05/26 06:51
- 名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)
「ハア・・・ハア・・・」
闇の中を、走る。ただひたすらに。
薄茶の髪、黄色の目の少女。
なんで・・・?
昨日までは、普通に暮らしてた。
それなのに・・・
ガーンッ
「な、なにッ?」
いきなり、天上の一部が崩れた。
間一髪で避ける。
外に飛び出すと・・・
ヒュンッ
「え?」
どこからともなく矢が飛んできて、チョーカーの石に刺さった。
「・・・ッ!」
「いたぞ!」「捕まえろ!」
すぐそばで、そんな声がした。
私は、本能的にその場を逃げ出した・・・。
「待てッ!」
「ッ!」
また来た!私は、頑張って走る。
と。
「こっち!」
いきなり、手を引っ張られた。そのまま、その人のモコモコの背中側に移動する。
・・・握られたその手には、何故か手袋がしてあった。
「な、何だお前!」
男が、そう叫ぶ。
「なにって・・・それはこっちのセリフだけど?」
男は、冷たい声で、そう言う。
あれ?このひとって・・・
「・・・スフィナに、なにするんだ!」
そう叫び、いきなり冷気を出す。
「クッ!一旦退却だ!」
男たちは、去っていった。
「大丈夫?スフィナ」
彼は、そう言って振り返る。
水色の目と、長い髪。異様なほどの厚着。
「・・・クレッセ?どうしてここに?」
「どうしてって・・・ここの近くの本屋に探してた本が入ったっていうから、買いに来たんだよ。でも、夜になっちゃった・・・寒いね」
彼・・・クレッセは、そう答える。
・・・確かにそれは聞きたかったことだけど・・・
・・・なんか、ずれてません?
「・・・そういうスフィナは、なんで追われてたんだい?俺がこなかったら、いろいろと危なかったような状況だけど」
・・・そんなの。
「そんなの、私が聞きたいよ・・・!」
さっきまでは逃げるのに必死だったけど、今思い返してみると、体が震えてくる。
「・・・こんな時間に外出てちゃダメだね。うちまで送るよ」
クレッセは、私の手を引いて、歩き出した。
家・・・
私は、今の家の惨状を思い出して、足が止まってしまった。
「どうしたn「いや・・・」
口から、勝手に言葉が零れる。
「いや・・・家、帰りたくない」
きっと、家にもあいつらがいるだろう。
「・・・じゃあ、俺のうちに泊まる?」
クレッセはそう言ってくれた。
私は、無言で頷く。
クレッセは、また歩き出した・・・。