ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Got Part -神の一部-  壱話up ( No.31 )
日時: 2010/06/13 19:26
名前: 輝咲 (ID: eHFPH3xo)

●1章 part参

「やっぱり……」

零衣はしばらく遊衣が家から出てくるのを待っていると、両手に収まるぐらいの茶色の箱を持ってきた。
あの箱には薬品や包帯などが入っている。

「何が『やっぱり』なの?」

「あ〜……それがな……薬草が切れてるんだ……」

「えー!」

薬草がないと左肘の怪我を治療ができない。
まぁ、なくてもできないことはないが、傷口に菌が入れば膿ができてしまう。それだけは嫌だ。

「しかたない……今から湖に行って採ってくるよ。先に家に帰ってて。」

遊衣は薬などが入っている箱を零衣に渡して行こうとするが、零衣が服を掴んで引き止める。

「私が行くよ! 湖なら綺麗な水で消毒できるし、それに、確か木の実もないはずだから、それもついでに採ってこれるしさ!」

「そ、そうか……なら、まかせた。」

「まかせておいて!」

零衣は箱を遊衣に返す。そして、湖に向かうために翼を広げる。
赤色がかかった茶色の翼が大きく広がる。零衣はこの色の翼が嫌いだった。
そう……「殺」、「憎」、そして「血」を表す、「鬼」の血が混ざっているからだ。
零衣と遊衣は、「鷹」と「鬼」の血を持つ動怪。
鬼は昔から他の種族から嫌われており、最近は「鬼狩り」などもある。
現在、零衣と遊衣は鬼の種族を隠し、何年も前からこの村にいる。

「気をつけて行けよ! 後、日が暮れるまでには帰って来いよ!」

「うん! わかった!」

零衣は翼を羽ばたかせて湖に向かった。