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- Re: Got Part -神の一部- 拾話up ( No.81 )
- 日時: 2010/06/27 22:16
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: AX8T4D8e)
●1章 part拾弐
ドォン!
大きな爆発の音とともに、家が揺らぐ。
机に置いてある、シチューがこぼれそうになる。
「……!! 何!?」
零衣は心が飛び跳ねた。鼓膜が破れそうな音だった。
ドォン! ドォン!
音はさっきよりも近く、家がまた大きく揺れる。
危ないと思い、立ち上がって外に出ようとした、次の瞬間……
ドォォン!!
家の天井の一部が爆破された。沢山の潰れた木片が、零衣に向かって落ちてくる。
(——!! 避けきれない!!)
避けきれないと確信をした零衣は、両腕で頭を守る。
次々と落ちて来る木片を踏ん張って耐える。
しばらくすると、木片の雨が止んだ。
「ゲホ……ゲホっ!」
前が見えないぐらいの木のほこりが、零衣の喉を直撃した。かなり咽る。
周りには木片が散らばっていて、足場がない程だった。
なんとか耐えた零衣だが、両腕には沢山の擦り傷ができている。やっぱり、無傷では済まなかった。
「零衣!! 大丈夫か!?」
扉を蹴飛ばし、奥の部屋から遊衣が出てくる。そこの部屋も被害があったみたいだ。木のほこりが充満している。
「なんとか……!」
咽ている声でできるだけの声を張り上げる。まだ、治まらない。
「そうか。とにかくここから離れよう。危なすぎる。」
「わかった……。」
傾いた玄関の扉をまた、遊衣が蹴飛ばす。外の空気を吸うと、咽が治まった。
だが、目の前の有り得ない光景が2人を驚かす。
「なっ……!!」
2人は同時に驚きの声を上げてしまう。
村者達の家が焼かれ、所々に村人が無残に殺されている死体が転がっている。
「何……これ?」
零衣はもうその光景を見て、呆然とした感想しか声に出てこなかった。体から力が抜けていきそうだった。
「あまり見るな。御前にはこの光景を見るのはまだ早い。」
「う、うん……。」
零衣は下を向く。前を見れない。恐怖で心が一杯で苦しかった。
もう何が起きてるかも理解できない。
「御前はここにいろ。私は様子を見てくる。まぁ多分、『鬼』の襲撃だろうがな。後、何かあったら、すぐに逃げろよ。」
「うん……わかった。姉さん気をつけてね。」
頑張って笑顔で見送ろうとするが、顔が引きつってしまう。
遊衣はそれがわかったのか、あえてそれを言わないでくれた。
「ああ。御前も気をつけろよな。」
遊衣は手を振って走っていく。零衣も手を振って見送った。
独り残された零衣は只ボーっと、モクモクを膨れている黒煙を見つめていた。
