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- Re: Got Part -神の一部- 拾弐話up ( No.93 )
- 日時: 2010/07/31 14:33
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: yLYdLExj)
●1章 part拾八
『それは、零衣の「心」が亡くなったからだよ。だから、炎が無いんだ。それは仕方ない。何故なら、神の力を手にして、「代償」を捧げたから。』
女の声と会話が終わったと思っていたが、また話しかけてきた。
最初は面倒と思ったが、話の内容が気になったので、仕方なく答える。
「意味わかんねぇよ。『心』? 『代償』? 知るか、そんなもん。私が知りたいのは何で、私だけ炎が無いのかだ。」
『だから、そのまんまだよ。心が無いから、炎も無いし、何も感じないんだってば。』
「そうか。てか、もうどうでもよくなってきた。御前と話す度に面倒になってくるんだよ。早く、アイツを殺してぇんだ。邪魔すんな。」
『殺せるの? そんな怪我をしたままで。』
そういえば……。左肩の傷のせいで、肩は上がらないし、右拳の怪我では殴れない。
このままでは勝算はないに等しい。
どうするか考えたが、何も良い作戦が思いつかない。
『アイデア……提供してあげようか?』
まただった。あの嬉しそうな声で話してくる。
今、アイデアがない状況では遊衣には勝てない。
渋々、女の声のノリに乗ってみる。
「どんなアイデアだ?」
『それはね———。』
その作戦を聞いた瞬間、心臓が飛び跳ねそうになった。
別にその作戦の内容に驚いたわけではなく、それを考えた女の声に驚いたのだ。
只単に、頭の中にいるうざい存在と思っていたが、こんなにも頭が回転するなんて。
『どう? やってみる?』
「あぁ。どうせ、良いアイデアが思いつかないんだ。御前の作戦に乗ってやるよ。」
そう言って、零衣は再び遊衣を睨みつけた。
怪我のところを庇いながら構えて、攻撃を仕掛けてくるのを待つ。
すると、遊衣が攻撃を仕掛けてきた。阿修羅をまた、縦に振る。
零衣はその攻撃を避けずに、左肩を無理矢理上げ、阿修羅の刃を掴む。
「——なっ!」
予想外な防ぎ方に焦る遊衣。急いで、阿修羅を引こうとするが、引けない。
ガッチリ阿修羅を零衣が掴んでいるからだった。
左手からは血が垂れているが、痛みを感じないため問題なし。
零衣は阿修羅を掴んだまま、軽くジャンプし、足を揃えて遊衣の腹を勢い良く蹴る。
「ガハッ……。」
呻き声と同時に遊衣は後ろへ飛び、燃え尽きた家の残骸に衝突した。
見事に綺麗に着地をした零衣の手には今、阿修羅が零衣の手に掴まれている。
そう——これが作戦だった。
阿修羅を奪い、状況を逆転させる。——そんな単純な作戦。
零衣は阿修羅をゆっくりと『体内』にしまう。
空白になった胸を埋めてくれるような気分になった気がした。
『上手くいったじゃない。』
「そうだな。意外だった。」
砂埃がたっていて、遊衣の生存は確かめられないが、多分気絶はしているだろう。
零衣は安堵の溜め息を吐き、遊衣がいる方に背を向けて歩き出した。
後は、この村から逃げれば終わり。
しかし、安堵はまだ早かった。
「私の阿修羅を返せぇ!!」
遊衣はまだ生きていた。
頭から——体中から血を流しながらも、こっちに駆けて来る。
本能だけで体が動いているみたいだった。
「う、嘘だろ……!?」
零衣の額から冷や汗が流れる。
大きなダメージを与えたはずなのに、まだ体が動くなんて——どうかしている。
ブゥン!
遊衣の強烈な右フックが炸裂。
左眼の御陰で、問題なく避けた零衣だが、少し焦った。
お返しに左のストレートを見舞ってみた。
ゴリッ。
「え……?」
顔に当たった。絶対に避けると思った。
いつも訓練の時、当たったことがなかったのに。
零衣は一瞬怯んでしまった。
遊衣はまた強烈な左のフックを仕掛けてきた。
ガリッ。
零衣は避けることができず、右頬に直撃した。
攻撃の衝撃で、バランスを崩れ、頭から地面と衝突してしまう。
起き上がろうと仰向けになったが、零衣に遊衣が圧し掛かってくる。
必死で抵抗するが、位置が悪い。
圧倒的に遊衣の方が有利。
「返せぇぇ!」
零衣の腕の間を抜いて、手が胸に向かって伸ばしてくる。
(ヤバイ……! 盗られる!)
そう危機を思った瞬間だった。
パァンパァン!
「そこまでだ。」
銃声と共に、澄んだ女の声が聴こえた。
