ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Got Part -神の一部- ( No.132 )
- 日時: 2010/09/05 13:16
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: hiWAYpdm)
●2章 part拾
ロビーには誰もいなかった。
あの襲ってきた、四軌という女もいない。
「あ゛——!! 疲れたぁぁ〜——!!」
ロビーの隅にある、肌触りが良い高級そうなソファーに、だらしない格好でうさみが倒れ込む。
女子とは思えないぐらいに格好が悪かった。
「だらしないぞうさみ。シャキッとしないか。」
呉阿がだらしない格好に指摘をする。
見ている側からにしては、あまり良いものではない。
「だって、本当に疲れたんだもん。足が棒になって動けないよ〜……。ボスぅ〜部屋まで連れてって〜。」
寝転んだまま両腕を大きく広げ、『抱っこして』のポーズをとっている。
勿論、輝いた笑顔で。
「嫌に決まってるだろう。——ってことになった。零衣、御前が連れて行け。」
「はぁ——!?」
話に何も関係ないのに、いきなり面倒な話を振り掛けられる。
——何で私がこんな奴を……。
重々しい溜め息が毀れてしまう。
「私も嫌に決まっている。」
「もし拒否れば、御前の能力のこと等——説明しないぞ。」
「うっ……。」
拒否をすることは不可能になった。
——まさか、こんなズルイ方法をしかけてくるとは。
考えもしていなかった。
「……連れて行けばいいんだろ?——面倒だ。」
零衣はボソっと愚痴を溢す。
そして、うさみを両手で抱え、『お姫様だっこ』をする。
一番手っ取り早いので、この抱え方にした。
抱えられたうさみは、頬を赤く染まっていた。
肌が白いせいか、赤色が目立つ。
路地裏の時と同じぐらい頬が赤くなっている。
「コイツの部屋は何処なんだ?」
「御前の部屋の隣だ。覚えているだろう?」
「——分かった。」
そう吐き捨てると、早足で部屋が連なっている廊下に向かって歩き出した。
靴の音がロビーに響き渡る。
「——うさみを無事に部屋まで送り届けたら、又ロビーに戻って来い。」
零衣はピタリと止まり、顔だけ振り向かせた。
「分かった。」
返事をして再び、零衣は早足で歩いていった。
——呉阿がどんな表情をしているかも知らずに。