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Re: Got Part -神の一部- オリキャラ募集中 ( No.152 )
日時: 2010/09/18 14:42
名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: OcUNQWvQ)

●2章 part拾四

キィィィン!

「——え!?」

金属音とともに、気がつけば、零衣の手にある筈の阿修羅が無くなっていた。
ついさっきまで、握っていたのに。

グサッ。

次は床に何かが刺さった音がした。
音がした方を視てみると、そこには無くなった筈の阿修羅が垂直に突き刺さっている。
一瞬で零衣は、1つの仮定が頭に浮かんできた。

(——弾き飛ばされた!?)

それしかないと確定した。
しかし、疑問があった。

(さっきまで、いつもどおりだったのに……!)

弾き飛ばされる前までは、呉阿の攻撃が「視えていた」。
なのに、間合いが詰まった瞬間、何が起きたか覚えていない。
多分、いきなりの出来事でわからなかったのだろう。
零衣は急いで阿修羅を拾いに行こうとするが、それは不可能になってしまった。
——呉阿がラックを零衣の首元に突きたのだ。

「言っただろう、お互いの能力は『中和』されると——。」

静かに零衣に語りかけた。
零衣は全く身動きがとれず、苦い顔をする。

「その為、闘いに必要なのは——『実力』だ。」

「……。」

零衣は何も言い返せず、黙り込む。
胸の中が物凄くムラムラする。
——こんなんじゃ、姉さんは殺せない。
奥歯をギリッと噛み締める。

「わかったのなら、無駄な抵抗を止めろ。」

「……わかった。」

呉阿はゆっくりとラックを下ろした。
試したいことはなんとなく出来たので、これで良しとする。
神の能力は、その者同士が闘えば、「中和」というものが起こることが判明した事は、かなりの収穫だった。

「なら、そろそろ寝たらどうだ? 日が暮れてきたしな。」

呉阿は窓を見上げた。
ロビーの窓から、夕日の光が差し込む。
薄暗かったあのロビーが嘘みたいに明るい。

「あぁ、そうさせてもらう。」

飛ばされた阿修羅を拾い、体内へとしまった。

「それから——明日から、零衣には『学園』に通ってもらうからな。」

「学園——?」

聞いた事もない言葉に、零衣はその言葉を返してしまった。

「まぁ、明日になればわかる。」

「そうか——。」

零衣はそれ以上問いかけなかった。
——どうせ、明日になればわかるらしいしな。
面倒な件だったら、断ればいい。

「御前の部屋は、さっき寝ていたところだ。——じゃ、ゆっくり休めよ。」

「あぁ。」

今度こそ、本当に部屋に向かっていく。
——やっとだった。
やっと、静かに寝れそうだ。