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Re: Got Part -神の一部- オリキャラ募集中 ( No.157 )
日時: 2010/09/20 10:12
名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: W3aU.Uy/)

●3章 part壱


——気がつけば、誰かと手を繋ぎ、街の中を歩いていた。
いつもより視界が低く、視ている物が全て大きく見える。
これは——。
また小さい頃の自分の夢だった。
多分、昨日に見た夢と同じ歳の頃だろう。
それにしても、自分の手を握っている手の大きさが、あまり自分と変わらない。
そして、小さい零衣は隣にいた、少女の顔をじっと見る。
少女は「あの時」に助けてくれた、「救世主」だった。
今回は黒いフード等は被っておらず、顔つきが幼い少女の顔がわかる。
亜麻色のショートボブで、紺碧の瞳を持っていた。
やっぱり零衣と同じく、左眼には黒い眼帯が付けられている。
——人形と思ってしまうぐらい、印象が強かった。

「どうしたの零衣?」

零衣がじっと顔を見ていたことがバレた。
何を言ったらいいか、返答に迷っていると、救世主はクスっと笑った。

「もう良いよ。それより、零衣が迷子って意外だね。『あの者』が、零衣から目を離すなんて。」

「う……。」

零衣は救世主から目を逸らし、下を向いた。
何故か——迷子になった時の「記憶」があった。
気がつけば、街の中で独りぼっちでいたのだ。
オドオドしているところに、救世主が偶然、零衣を見つけた。
——そして、現在に至る。

「今頃、『あの者』も必死で零衣を探してるだろうね。」

空を見上げながら、救世主は笑みを浮かべた。

「う、うん……。」

まだ零衣は下を向いている。
顔を上げるのを拒否しているようにも見える。

「はぁ〜……『あの者』はどこにいるんだろう? 早く見つけて——」

「ねぇ。」

零衣は救世主の言葉を遮って話しかけた。
ゆっくり顔を上げ、救世主を再び見つめる。

「『あの者』って誰?」

妙に気になっていた。
救世主は誰かを、『あの者』と呼んでいる。
その事に虫唾が走って、気持ち悪かった。

「あ〜、そういえば言ってなかったね。その者は——」

ザザ——。

耳障りな雑音と共に、零衣の視界が途切れ途切れになる。
そのせいで、救世主が言っている言葉が聞こえない。
口パクで頑張って聞き取ろうとしたが、視界も悪く全く分からない。

プツン……。

視界が消える音がした。
真っ暗な世界になった。

——そこで、零衣は夢から覚めた。