ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Got Part -神の一部- オリキャラ募集中 ( No.163 )
日時: 2010/10/02 16:28
名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: 0ZzzaL.w)

●3章 part五


「転校生を紹介します。」

武術科2つ星クラスがざわめきだした。
「転校生」と聞いて、どんな子か楽しみにしている。
——世界最悪の種族が転校してくるなんて、誰も思ってるわけでもなく。

「では……どうぞ。」

教師の声が少し震えていることに、誰も気づいていない。
ガラっとドアが開かれ、左眼に眼帯を付け、前髪の真ん中にオレンジ色のメッシュを入れた少女が入ってきた。
緊張とかそんなものはなく、無表情で教室を見渡す。
教室の高低が激しく、黒板がある方——零衣が立っている辺りが一番低い。
机は長机で、円を描くように隣同士が繋がっている。

「名前は鉄川 零衣。種族は鷹と『鬼』——。」

「鬼」と言った瞬間だった。
教室全体が、冷たく重い空気になった。
後ろの席からバンと机を叩く音がする。

「何で『鬼』がこんなとこにいるんだよ!!」

続いて、また机を叩く音がする。

「そうよ!! そんな汚れた種族がいるなんて納得がいかないわ!!」

「なら——私を殺してみろ。」

零衣は静かに冷たく口を開いた。
そして、手前に立っている女をギロっと睨みつける。

「——っ!! や、やってやるわよ!!」

手前の女が攻撃を仕掛けてきた。
剣と斧が合体したような、よく分からない武器を、零衣に振るう。
左眼の能力を発動させる意味もない攻撃だった。
そんな攻撃をかわし、阿修羅を素早く引き抜くと同時に、女の横腹を斬る。
血飛沫が噴き、床が赤く染まる。
そして、女がガクリと崩れ落ちた。

「……。」

クラスにいた生徒達は恐怖のあまりか、悲鳴を上げられずにいた。
教室全体が沈黙に包まれる。

「どうした? もう終わりか?」

生徒らに阿修羅を真っ直ぐ前に伸ばす。
血の雫がポトポトを滴る。
教師は体が震え、腰を抜かしていた。

「俺だってやってやる!!」

机を叩いた男は武器を引き抜き、机を踏み台にして零衣に飛んでいく。
空中で男の武器であろう、大きなブーメランを投げる。
コントロールは良い方だった。
弧を描き、零衣に吸い付くかのように回っていく。
零衣は落ち着いた様子で、飛んでくるブーメランの動きを見切る。
ブーメランと零衣の距離が近くになった瞬間、零衣はブーメランの上に乗り、素早く足で蹴り、弧の向きを変えた。
上に逸れたブーメランは天井に勢い良く突き刺さり、天井がボロボロと崩れる。
男は驚異なのか驚いている。

「嘘……だろ?」

「終わったな。」

ブーメランの弧を変えた零衣は床に着地し、まだ宙にいる男に斬りかかった。
胴を真っ二つにするかのように斬るが、急所を外してやった。
今度は血飛沫が派手に噴く。
大量の血が零衣にかかる。
男は「ガハっ。」と呻き、床に落ちた。
零衣は体勢を崩すことなく、男がいるところよりも上に着地する。
着地した隣には、唖然としているうさみがいた。
血まみれの零衣を見て驚いているようだ。

「れいちぇる……?」

「少し、どこかに行ってくる。」

「え……?」

武器を体内に直し、零衣は後ろの扉から教室から出る。
——その後、この騒ぎが学園中に広まったことは、零衣はまだ知らない。