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Re: Got Part -神の一部- オリキャラ募集中 ( No.166 )
日時: 2010/10/03 21:09
名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: AhExT7bF)

●3章 part六


上半身が血まみれになったが、別に気にしない。
零衣は教室を出た直後、風があたる屋上へと向う。
まるで迷路のような廊下だが、左眼を使えば全く問題はなかった。
能力を解放し、廊下を見渡しながら歩く。
授業中なのか、生徒は全然いなく、物凄く静かだ。
——校舎は全部で3つ。
零衣がいる校舎は4階建てで巨大な「コ」の形をしていて、「コ」の反対の形が対称に並んでいる。
2つの校舎に囲まれた中には、正方形の形をした校舎がある。
それぞれの校舎は何をするために建てられたのかは分からないが、それにしても可笑しな造りをした学園だった。
つまらない事を考えていると、屋上に続くドアの前に辿り着いた。
ドアノブを捻るとガシャとボロそうな音がして、ドアを開く。
今日は風が強い天気だった。
ドアを開けた瞬間、風がブワっと吹き、髪が靡く。

(——誰かいる。)

屋上にある給水タンクの上に者がいた。
左眼の力で物と物の間が透けて視える。
給水タンクの周りは、タコの足のように管が沢山伸びていて、足場が悪い。

「てめぇか……!!——いや、ちょうど良かった。そろそろてめぇが俺のクラスに転校してるんじゃねぇかと思って、クラスに戻ろうと体を動かそうとしてたとこだ。」

そこにいたのは、あの時——ロビーで闘った四軌が立っている。
出会った時と同じ服装だ。
殺気があの時よりも増している。
間違いなく、仕掛けてくるつもりだろう。

「あぁ……面倒だ……。」

——運が悪すぎだ。
零衣は眉を歪ませ、髪をボサボサと触る。
胸の中が変にムラムラしてだるい。

「行くぞ!!」

四軌は武器を装着するなり、給水タンクを蹴り零衣がいる場所まで突っ込む。
零衣も武器を取り出し、咄嗟に横に飛び攻撃を避ける。
凄いスピードで着地した四軌だが、怯むことなく次の攻撃を仕掛けてくる。
また突っ込んでくる四軌に、零衣は左眼で攻撃をじっくりと視た。
左眼で遅く視える攻撃を、阿修羅で弾く。
それでも、四軌はしつこく突っ込んでくる。
面倒になってきたので、零衣は翼を広げ、屋上の鉄柵を蹴って宙を浮く。
——流石に、もう攻撃はしてこないだろうと、気を緩めた時だ。

「また逃げるのか!!」

四軌が鉄柵を軽々と乗り越え、宙にいる零衣に翼を広げずにジャンプしてきた。
——此処は屋上だ。
翼を広げずに飛んできたとなると、四軌は翼を持たない種族。
間違いなく地上に落ちる。
——落ちた。
正確には、零衣に掴みかかろうとしたところを、翼を羽ばたかせ、上に飛んで避けたのだ。
支えが無い宙で、重力によって落ちていく四軌。
4階となれば、どんなに運動神経が良くても、無傷では着地は出来ない。

「本当に面倒だ……。」

零衣は急降下し、左眼を使って四軌が落ちてきそうな場所へ先回りをした。
四軌が真っ逆さまに落ちてくる。
零衣は足をすっと上げ、その体勢を維持する。
2階の窓に目掛けて、落ちてきた四軌を思い切り蹴り飛ばす。

「ガハッ……!!」

背中を強打された四軌は、窓に衝突して廊下を転げた。
窓が派手に割れ、偶々いた生徒達が酷く驚いている。
一応、四軌は助かった。
地面に激突するよりマシだろう。
零衣は翼を羽ばたかせ、ゆっくり地面に降りる。

「あのアマぁ……!!」

擦り傷だけで済んだ四軌が、怒りに満ちた表情で廊下の壁を叩く。
壁が抉れ、破片を掴み、それを割れた窓に投げる。
そんな光景を見ていた、周りの生徒達は静かに脅えていた。