ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Got Part -神の一部- オリキャラ募集中 ( No.173 )
- 日時: 2010/10/04 16:35
- 名前: 輝咲 ◆7kKwdRQzyk (ID: 3nYhlhuN)
番外章 part壱
——まだ、鉄川 零衣が転校してくる少し前のお話。
白銀の短髪に、血のような深紅の瞳の少女が、不機嫌そうに言った。
「あ〜……クソみたいに面倒だな。どうして、あたしらがこんなクソ『魔物』を殺さないといけねぇんだ?」
男勝りな喋り方をした少女の目の前には、10メートルはあろう細長い足が6本で支えられている虫のような魔物がいた。
——寄生虫再生型魔物。
その名の通り、虫の形をしており、ダメージを与えてもすぐに再生してしまう、厄介な魔物だ。
続いて、地面にまで届くぐらいの長さの髪を後ろで結んでいて、髪の色と同じ灰色の瞳を持った少女が言う。
「クソとかほざく暇があるんなら、しっかり集中せんかい。」
その少女の隣には、訛った喋り方をする少女がいる。
男勝りな喋り方の名を、望月 裂夜、訛った喋り方の名を、雲仙 初海と言う。
2者とも、豪空善学園の生徒である。
学園の校長に「厄介事」を頼まれた少し不運な少女達。
「わかってるよ。でも、斬っても斬ってもキリがねぇのに、どうしろってんだ!?」
裂夜は苛立ちを隠せない。
——当然だった。
30分間ずっと、空気が湿った熱帯林の中で魔物の足を斬り続けているのだから。
「知らん。だから、こうやって今は何かええ方法がないか考えてるんやないか。」
裂夜とは反対に、初海は落ち着いた様子で話している。
眠たそうな顔をしているが、言っていることは真面目だ。
「原因の元はあの、クソ校長のせいだ!!面倒な依頼を押し付けやがって!!」
——数時間ほど前。
2者は校長室に突然呼び出された。
「任務だぁ?」
不機嫌そうな様子で、裂夜は言った。
ついさっきまで、授業をサボって中庭のベンチで気持ちよく昼寝していたのに、途中で校長に起こされたのだ。
そのせいで、裂夜の機嫌は最悪だった。
「うん、そう。厄介な魔物を殺す任務なんだ。君達なら出来るでしょ。」
にんまりとした笑顔で、面倒な事を言う校長。
「厄介」というとこで、さらに裂夜の機嫌は悪くなっていく。
「やらない。」
「けど、お隣の雲仙さんはやる気あるみたいだよ?」
「別に、うちはしゃーないからやるだけです。」
隣にいた初海は校長の言葉を訂正した。
「厄介な事」なんて、もっぱらやろうとは思っていない。
——「仕方なく」やるだけだ。
「最近のコは駄目だね〜。実力はあるのに、積極的に任務をこなさないなんて。」
実は言うと——。
2者とも、実力は確かなのだ。
しかし、「寝たい」だとか、「授業を聞かない」だとかで、ちゃんと授業を受けていない。
そんな子らが増え始めたので、「厄介な事」——別名「特別出張任務」を無理矢理受けさせられる。
それを拒否した者は、後で色んな意味で大変な事になってしまう。
「言っておくけど、君らには拒否権がないからね。——って事で、行ってらっしゃ〜い。」
と、校長に「厄介な事」を押し付けられ、本当に厄介な事になっているのが今の現状だ——。