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Re: 〜The stop world〜4話までうp ( No.10 )
日時: 2010/05/25 18:47
名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)

【時間停止の理由と政府の陰謀】

「うっ・・・・」
田中に殴られ気絶していた心一は目を覚ました。
心一は殴られた腹を手で摩りながら、体を起して辺りを見渡す。
どうやら廃ビルの中にいるようだ。どこの廃ビルなのかは分からない。
「目が覚めたか。」
心一が声に驚き後ろを振り向く。
後ろには田中が壊れた椅子に座って心一を見ていた。
「な、なんだよあんた・・・・・」
「俺は田中栄次郎。理由があってお前を拉致した。」
「は!?」
心一は田中の言葉に呆然とする。拉致される意味が分からない。
「名前は三上心一で間違いないな?」
「あ、あぁ・・・。それより!!なんで俺を拉致したんだ!?」
心一が再び質問した。
すると、田中の口から予想もしない言葉が出てきた。

「時間を・・・戻すためだ・・・・」

その言葉を聞いた心一は、言葉を失い動きが止まる。
拉致された意味の意味が分からない。この男は何を言っている?
心一は立ち上がると、急いで廃ビルを出ようとする。
「どこに行く?」
「学校だよ。俺は学生だ。さぼると面倒なんだよ。」
「行かせない。君は選ばれた人間なんだ。」
田中のその一言で、心一の心の糸が切れた。
「うるさい!!意味分かんないんだよ!!!お前は何者だ!?」

「時間管理府管理官の田中栄次郎だ・・・」

心一は田中の答えに顔色を変えた。
今世界を支えているとも言える政府の組織が拉致?
心一は田中の方を向くと、首を傾げて質問した。
「なんで時間管理府の、政府の人間が俺みたいな一般市民を拉致するんだ?」
「俺はもう政府の人間じゃない。今は追われてる。」
田中の話に好奇心で興味を持ち始めた心一は、その話を興味深々と聞く。
「追われている理由は、時間が止まった原因を知ってるからだ。」
「え!?」
心一は田中の顔を見て驚く。なぜなら、1年以上経った今でも理由が分からないからだ。
NASAが分からないことを知っている田中に、心一は不審に思った。
田中が知っているなら、時間管理府は知っているはず。
それに通じて政府全体がそれを知っているはずだ。
「あんた・・・田中さんが知ってるなら、政府は知ってるんじゃ・・・」
「知ってるさ。でも隠してる。その理由は分からない。でも、時間が止まった原因なら知っている。」
田中は一息つくと、原因を話し始めた_______


━━━━━時は1年前 2012年8月15日

政府は市民の目を隠れ、とある実験を行っていた。
その実験は、『タイムトラベル』。
時空移動装置を設計し、それは1年前の8月15日完成した。
実験に実験を重ね、本格的に人間を送り込む実験をする予定だった。
11時00分_______
実験はスタートし、何もかも順調に進んでいた。
が、それは一瞬で砕け散った。
装置が突如暴走。その場にいた研究員18名、下見に来ていた政府関係者5名が謎の光に飲み込まれ消失。
すべては実験施設の監視カメラに映されていた。
そう、装置の暴走で実験室にいた計23名の人間がタイムトラベル。
どこにタイムトラベルしたかは不明。過去か未来か。
装置はそのまま暴走し、大爆発を起こした。
その瞬間、大気が震え世界の時間が一瞬で停止。
政府はすべてを知っているが、その真相は言わない。
理由は分からない。しかし、政府は何かを仕出かすつもりだ。
このままにしておけば必ず近い未来、大変なことが起こる。
だから、この俺田中栄次郎は政府を逃げ出した。
俺のほかにもあと一人、仲間がいたが桐谷という男に殺された。

━━━━━


話を終えた田中は心一の顔を見た。
心一は話を聞いて同情するが、疑問点が一つある。
「なんで、俺が関係ある?」
「あるリストに君の名前が載っていた。」
「リスト?」
「あぁ。よく分からないんだ。急いで逃げてたからな・・・」
田中はそう言うと、床に座り込んでため息をつく。
心一は田中の話を聞いて心が揺れていた。

そして、心一の人生は田中との出会いで大きく変わるのだった