ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜The stop world〜オリキャラ募集 ( No.13 )
- 日時: 2010/05/29 11:52
- 名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)
【第2の選ばれし者 水川桃子】
東京世田谷区 地下水路
治安部隊からどうにか逃げることができた田中と心一は、現在地下水路を歩行中だった。
「これからどうすんの?」
「住所の方角は分かる。その場所目指して進むぞ。」
田中は薄暗く、ひんやりとする通路を平然と歩いて行く。
心一も離れないように小走りでついて行く。
10分程歩き続けていると、田中が足を止めて上を見上げた。
「ここらへんだ。」
田中は梯子に手をかけ、昇り始める。心一も続けて昇る。
田中は重いマンホールを開けると先に地上に出た。
心一も地上に出て、辺りを見渡す。
どうやら世田谷区の一番隅の方らしい。住宅街の目の前に2人はいた。
「ここらへんだ。急ごう。」
田中が心一に言うと、遠くからパトカーの音が聞こえ始めた。
時間管理府の動きがかなり早い。心一は改めて、田中がどんなに大事な人物かが分かった。
2人は住宅街に入り、一軒の家の前に止まる。
「ここだ。えっと・・・水川っていうのか。」
「え!?」
心一はその言葉に驚き、慌ててその家を見る。
間違いない。それは、心一の親友である水川桃子の家であった。
「なんで!?桃子も関係あるのか!?」
「おそらくな・・・・彼女は今家にいるか?」
「学校だよ!!俺はあんたに拉致されて行ってないんだ。」
田中はため息をつくと、辺りを見渡す。
恐らく、学校はまだ終わらないだろう。ここにいても敵に見つかれば終わりだ。
田中は考え込み、その場にしゃがみ込む。
「どうすればいいんだ・・・・。」
「早くしないと!!時間管理府の人たちが来るよ!!」
心一が田中に言う。その時だった。
「心一!!!!」
2人の後ろから、水川桃子が突如現れ心一に駆け寄る。
「心一!!大丈夫!?・・・・きゃっ!!!」
桃子は田中を見ると後ずさる。
心一は大慌てで説明を始めた。
「彼は悪い人じゃないよ!!てか、早くしないと!!」
心一は田中の方を向いて言った。
3人の目の前から2台のパトカーが接近してくるのだ。
「えっ!?どういうこと?」
桃子は理解する前に心一に腕を引っ張られ自宅の中に逃げ込む。
田中は桃子の家の車庫を見ると、すぐ様車庫の中を見る。
「車のキーはどこだ!?」
「へ!?えっと・・・家の中!!」
桃子は家のカギを開け、玄関に置いてあった車のキーをとる。
「両親はいないのか?」
「別居中なの。お父さんは仕事中。」
田中は話しながら車のドアを開けると、エンジンをかけた。
「早く乗れ!!すぐに行くぞ!!」
心一と桃子が後部座席に乗った瞬間、田中はアクセルを力いっぱい踏む。
軽自動車は車庫の薄っぺらの鉄のドアを破壊し、そのまま道路に出た。
後ろに乗っている2人は何かに掴まり、田中の荒い運転に耐える。
『いたぞ!!!田中ぁぁぁぁ!!!!止まれ!!!』
後ろから聞こえたのは桐谷の声だった。
桐谷はヘルメットをかぶらず、ものすごいスピードでバイクで接近してくる。
「桐谷・・・・ここで復讐してやるよ!!!」
田中はハンドルを右に回し、猛スピードの状態で右に曲がる。
「きゃぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
「うわぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
心一と桃子はあまりにも荒すぎる運転に悲鳴を上げた。
桐谷はバイクのせいもあり、すぐに田中たちが乗る車に並んだ。
「田中!!くたばれ!!!」
桐谷は腰から拳銃を取り出し、運転している田中に向けた。
運転している田中はどうすることもできない。
その時だった。
「うりゃぁぁぁ!!!!!」
後ろの窓を開け、心一がバイクの後輪に金属バットを突っ込んだ。
「なっ!!!」
バイクの後輪に突っ込まれた金属バットは音を上げて砕け散る。
その拍子にバイクは横転。桐谷はバイクから放り出され、近くの家の庭に飛ばされた。
「よし!!このまま次の場所まで行くぞ!!!!」
田中はアクセルを強く踏むと、そのまま次の場所を目指した。
**********
バリーーーン!!!!!
家の庭先に飛ばされた桐谷は、そのまま窓ガラスを割り家内に転がり込んだ。
「くっ・・・・」
桐谷は窓ガラスの破片で顔が血まみれとなり、酷い状態となった。
「くそ・・・・絶対に許すものか・・・・あのくそ餓鬼・・・・」
桐谷は顔を押さえたままその場に倒れ、気絶してしまった。