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Re: 〜The stop world〜7話うp♪ ( No.23 )
日時: 2010/05/30 10:24
名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)

【マニプラット・エンタープライズ社】

東京 練馬区

練馬区のビル群に、どの建物よりも大きな建物が建ってある。
名前は‘マニプラット・エンタープライズ・コーポレーション’
世界を代表する大企業であり、色々な商品を扱っている会社だ。
簡単に言えば、この世界を支えている経済の柱でもある。

最上階の40階社長室には、社長の小沢賢治が窓から練馬区を見下ろしている。
「社長、娘様がお見えですが・・・」
「通せ。」
秘書と思われる女性はドアを開ける。すると、制服を着た一人の女の子が入ってきた。
「理子、芸能活動と学校生活は両立できてるか?」
「そんなのどうでもいい。話は何よ?」
現在、ブレイク中のアイドルグループ‘Dream’のリーダー小沢理子。
清楚アイドルとして有名だが、父親の前だけは違った。
「実は、政府が今追っている逃亡犯が練馬区に入ったらしい。危険だから、お前は当分この社にいなさい。」
「はぁ!?ふざけないで!!今から撮影もリハーサルもあるんだから。」
理子は賢治に背を向けると、社長室から出ようとした。
「・・・後で後悔するのはお前なんだぞ。」
「しないわよ。生まれてから後悔なんてしたことないもん。お母さんは例外だけどね。」
理子はそう言うと、足早に社長室を出た。
賢治は社長デスクに座ると、大きくため息をつく。
「千恵子、私に子育ては無理そうだ・・・」
デスクの上に置かれている写真に賢治はつぶやく。
写真には賢治、理子、そしてすでに他界している千恵子の満面の笑みが写っていた。

**********

同じく 東京 練馬区

車で移動中の田中、心一、桃子は次の場所へと向かっていた。
桃子にはある程度説明したが、今はパニック状態で全部は受け止めていない。
「で、次の場所はどこなんですか?」
桃子は運転する田中に聞く。
田中はなぜか、首を傾げ何度も住所を確認していた。
「いや・・・それが・・・次の場所って・・・・」
田中は目の前に建つ、ある建物に指を指した。
「へ?」
桃子と心一は指さした方向にある建物を見て唖然とする。
「第3の選ばれし者は・・・あそこだ・・・・・」

「マニプラット・エンタープライズ社」

「えぇーーーー!!!!!!!!????????」
桃子と心一は大声をあげて驚く。
田中も不思議に思い何度も確認するが、住所はマニプラット・エンタープライズ社に間違いない。
「問題発生だな・・・。あんな大きな場所では、選ばれし者を見つけるのは難しい・・・・。」
「そういや、私たちが選ばれし者ってどうやって分かったんですか?」
桃子の質問に、田中は過去のことを話し始めた。
「以前、俺の親友がリストを渡した時に言ったんだ。‘その住所の場所に行って、最初に見た奴が選ばれし者だ’って・・・」
「え?でも、今回は・・・・」
田中の話を聞いて、心一は問題点に気付いた。
桃子も遅れて気付く。
「そうだ。あんな大企業の会社に入れば、大勢の人間を一気に見て、誰を最初に見たか分からなくなる。」
田中はため息交じりに舌打ちをした。
後部座席座る2人もため息をつく。すると、心一がふとつぶやく。
「時間、戻せるんですかね・・・・」
その一言で、田中はなぜか微笑む。
「俺の親友は、究極の情報を渡して死んだ。死に際の人間が嘘をつくとも思えない。それに、君たちだって時間を再び動かしたいだろ?」
田中の言葉に、桃子は大きく頷いた。
「時間・・・動かしたいよ・・・・。毎日同じ天気で気候も季節を変わらない。私、もう一回冬を体験したい!!!」
「俺だって、時間動かして自然な風に当たりたい・・・」
田中は2人の言葉を聞いて、真面目な顔つきになる。
「よし!!それなら進むだけだ。行こう。」
田中はアクセルを踏み、3人はマニプラット・エンタープライズに向かった。