ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜The stop world〜10・11話うp♪ ( No.46 )
- 日時: 2010/06/01 18:38
- 名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)
そして物語は______
加速する______
【別れた4人】 第1部最終話
東京上空
賢治を埋葬した4人は、次の場所へとヘリコプターで移動中だった。
「田中さん、次の場所は?」
「次は一番近い第6の選ばれし者の場所に行く。場所は青森県。この調子で飛んでれば30分で着くさ。」
田中は操縦をしながら言う。
桃子と理子はすっかり打ち解け、心一も最初の頃より田中とは仲が良くなっている。
「青森かぁ〜・・・撮影で何度か行ったことあるけど、あそこいいよね。」
「理子ちゃん、アイドルってきつい?」
桃子が理子に突然質問をすると、理子は笑って首を横に振る。
「全然大丈夫だよ!!スタッフさんやみんながいるから苦にならないよ。」
「私、歌手目指してるんだ。だから参考に・・・」
桃子は照れながら3人に言う。
理子は桃子の肩に手を置くと、拳を出して首を縦に振る。
「頑張ればなれるよ!!」
理子がそう言ったその時だった。
『田中ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!』
突如、空に響き渡る聞き覚えのある声。
4人は声に驚き、辺りを見渡した。
すると、4人が乗るヘリの後ろにもう一台ヘリがついてきていたのだ。
「あいつ・・・桐谷!?」
田中は窓からヘリを見て愕然とした。
時間管理府のマークが描かれたヘリに桐谷が一人乗っていた。
「どれだけ俺に恨みがあんだよ!!!」
田中はヘリを旋回させると、一気に降下する。
青森はすでに視界に入っているのだ。
「おい!!パラシュートはあるか!?」
田中が叫び、心一はヘリに設置されてある棚を開く。中にはパラシュートが3つ入っている。
「3人はそれで降りろ!!俺はあいつを足止めする。」
「え・・・でも!?」
「急げ!!」
心一は理子と桃子にパラシュートを渡すと、2人は大急ぎでパラシュートをつけた。
その時だった。
ガギン!!!
桐谷はヘリに体当たりをした。衝撃で桃子と理子が外に放り出された。
「心一!!!」
「桃子!!小沢さん!!!!」
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
2人はあっという間に雲の中へと消えた。
心一は田中を見ると、自分を2人を追いかけるためにパラシュートをつけようとする。
しかし、残り1つのパラシュートが見当たらない。
「どこ!?なんで!?・・・あっ!!」
そう。先ほどの衝撃で2人とともに最後の1つのパラシュートも落ちたのだ。
「田中さん!!パラシュートがない!?」
「なに!?うぉ!!」
桐谷はヘリを横に並べ、その拍子にヘリとヘリが擦れ合った。
田中は横を向いて桐谷を見ると、桐谷は不気味に笑い何度もヘリに体当たりをする。
「お前らのヘリは所詮ボロさ!!こっちのヘリは政府所有のだぞ!!!」
桐谷は大笑いをしながらヘリをぶつけまくる。
心一は田中を見ると、田中は唇を噛みしめ操縦を続けている。
このままでは青森を過ぎ、北海道に入ってしまう。
そして、最悪の出来事が起きたのだった。
ボォォォォォォン!!!!!!!
田中と心一が乗るヘリのプロペラが、爆音を上げて止まってしまったのだ。
田中はすぐに異変に気付き、どうにかして復旧させようとする。
しかし、どうにもならない。
「さらばだ!!これでお前らは終わりだ!!!」
桐谷はとどめに強く、ヘリの機体に体当たりを喰らわした。
「うわ!!」
2人が乗るヘリはとうとう、完全に機能が停止。
段々と高度が下がり、目の前には大きな北海道地方が広がる。
「田中さん!!どうするんですか!?」
「奇跡を信じろ!!飛び降りたらそれこそ終わりだからな!!」
田中はハンドルにしがみつき、心一は椅子にしがみついて衝撃に耐える。
そして、2人を乗せたヘリは黒煙を出しながら北海道地方へと落下して行った。
**********
バサッ!!
青森県 燕崎
ヘリから飛び降りた2人は青森の最北端付近に無事、着地することに成功した。
「桃子ちゃん!!大丈夫!?」
理子はパラシュートを外すと、頭を押さえながら立ち上がる桃子に駆け寄る。
「平気!!平気・・・」
桃子はパラシュートを外すと、辺りを見渡す。
辺りは森ばかりで、2人の目の前には青い海が広がっていた。
しかし、その海の時間は止まり、波の音など聞こえない。
海の上を歩けるが、別に意味はないのでしない。
2人は顔を合わせると、その場所から見える津軽海峡線を見た。
彼らは恐らく、北海道に落ちただろう。
北海道と青森を唯一繋ぐ海峡線を越えるのは東北治安部隊を倒さねばならない。
無論、か弱い女の子二人には無理だ。
桃子はため息をつき、理子を見る。
「私、第6の選ばれし者の住所覚えてるけど・・・どうする?」
「・・・田中さんと心一君は無事を祈ろう。少しでも良いから、彼らの役に立つ行動しようよ!!」
理子は桃子に言うと、桃子は笑顔で頷く。
2人はその場から歩きだし、第6の選ばれし者の元へと向かった。
**********
北海道 天狗山
「いたぞ!!捕獲しろ!!」
辺りに臭う焦げたにおいに、薄らと見える黒煙。
心一は落下した衝撃に頭を打ち、意識が朦朧としていた。
「田中・・・さん・・・?」
心一は辺りに聞こえる多くの足音と同時に、誰かに担ぎあげられる。
「山本特別隊長、彼らはどうしますか?」
山本・・・特別隊長・・・・?
心一は頭を上げ、目の前のいる人物を見ようとする。
しかし、視界がぼやけて見えない。
「蛭ヶ丘刑務所に収監しろ。桐谷の言うことが正しければ、彼も共犯だ。」
山本と呼ばれる男性はそう言うと、その場から立ち去って行った。
「刑務所・・・そんな・・・・・」
ガクッ!!
第1部 終了_______