ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜The stop world〜15話うp ( No.58 )
- 日時: 2010/06/04 18:35
- 名前: ハバネロ (ID: EWcIN/Ij)
【黒の人間と白の人間】
青森県 脱獄騒動から2日前
名も無き街に出た理子と桃子は、持っていた残金でファミレスに入った。
「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
理子が頷くと、2人は窓側の席に誘導させられ座る。
桃子はメニューをとり、理子とともにドリンクバーを頼んだ。
「さてと、これからどうする?」
「住所からすると、この街を抜けた田舎の方みたい。」
桃子はため息をつきながら外を見る。
2人はドリンクバーを頼んだものの、ジュースを飲む気にはなれなかった。
心一と田中のことが心配なのである。ヘリコプターは煙を上げて山の方へ落ちていた。
心一達の無事を桃子は心の底から願う。
理子と桃子が外を見ていると、通りに時間管理府の車が止まった。
車の中から全身黒に黒の仮面をした人物と、全身白で白の仮面をした人物が降りてくる。
桃子たちは顔を合わせて危険を察知した。
「桃子、逃げた方がいいかも・・・」
「私も同感・・行こう!!」
2人は席を立ち、勘定を済ませるとファミレスの裏手へと姿を隠した。
**********
ファミレス前
東北治安部隊隊長のブラックとホワイトは車から降りると周りを見渡した。
「トウボウチュウノハンニンガ、コンナトコロニイルノカナ?」
ホワイトは変声機を使って高い声でしゃべる。性別や年齢は全く分からない。
「犯人ハ2人。女ダケダ。スグ終ワラセルゾ。」
ブラックはホワイトと反対に低い声でしゃべる。
2人は奇妙な風貌と謎のオーラを放ったまま、ファミレスへと歩き始めた。
後ろからは銃を構えた東北地方治安部隊隊員が5人、後をついてくる。
「キミラハ、ファミレスノナカヲサガセ。ワレワレハウラヲサガス。」
ホワイトは腰から真っ白な拳銃を取り出した。
ブラックは腰に装備している柄から刀身まで真っ黒な日本刀を取り出した。
2人は武器を持ったまま裏手に向かうが、そこには人の姿はない。
2人は顔を合わせると、ファミレスの裏を流れている川を見た。
川はそれほど水量もなく、大きな排水溝の中へと続いている。
「逃ゲタカ・・・・。治安部隊二任セルゾ。」
ブラックがそう言うと、ホワイトは渋々了解する。
2人は車に戻り、応援を呼ぶことに決めた。
**********
地下水路
理子と桃子は水の音をたてながら地下水路を逃げていた。
「もう大丈夫じゃない?」と理子が息を整えながら言う。
桃子も後ろ振り向いて足を止めた。
「どうしよう・・・戻ったら危険だし・・・・。このまま先に進んでも・・・」
2人は闇の中に続く水路を見つめた。
慣れている土地ならともかく、ここはまったく来たことのない青森県。
すでに選ばれし者の住所がどの方角なのか分からない状態だった。
「戻る?それしかないし・・・」
桃子が理子に問いかけたその時だった。
‘ォォォォォン・・・・’
2人は謎の呻き声に後ろの方に素早く振り向く。
確かに聞こえた。謎の機械音が反響して耳に届く。
しかし、ここはただの地下水路だ。機械なんてあるはずがない。
2人は顔を見合わせ、闇に続く水路を目を細めて見つめる。
すると、遠くの方で光が一瞬だが見えた。
「なにか・・いる・・・・・」
桃子は気になり、一歩足を進めた。
理子は桃子の行動に驚いて肩を掴む。
「い、行くの!?」
「ここにいても意味ないし、戻っても危険だから・・・進もう・・・」
桃子の言葉に理子は反論できなかった。
そして、2人は先に何があるのか分からない地下水路を進み始めた。